結婚して福岡に住んでいた私が家族と共に実家のある三次市に戻ってきて木製玩具専門店を創業して15年が経ちました。福岡に住んでいる時から「いつかは木のおもちゃ屋をやりたい！」と思っていたので、おもちゃコンサルタントの資格を取ったり、おもちゃ作家さんに作り方を習ったり、木材の勉強をしたいとホームセンターに転職をしたりと準備はしていました。三次に戻るとすぐにでもお店を始めたくて、生後8か月の娘のベビーベッドを店内に置いてお店を開店させました。今、考えると無謀なことをしたものです。
　子どもの成長をそっと手助けするヨーロッパのおもちゃを三次に住む方にお伝えしたい。そんな一心で木のおもちゃで遊ぶイベントを何度か行いました。イベントには遠くからもたくさん親子が訪れ遊んでいただきました。「木のおもちゃはいいね」と言われるのがとてもうれしかったです。私も子育ての時期だったからこそ母親としての大変さもよくわかります。お店ではおもちゃの相談はもちろん子育ての悩みを聞くこともありました。そんな子どもたちが小学校の授業の一環「町探検」で来店したり、高校の授業で一緒におもちゃを考えたり、「あの時の子どもさん！」と驚くことも多々ありました。
　現在も小学校の森林学習をボランティアでお手伝いしたり、何人かの仲間と「おもちゃフェスタ」というイベントを行ったり、地元の木を使ったおもちゃを企画したりと、進行形がたくさんあります。
　私は私の住んでいるこの地域が大好きです。開店当初、店内にはヨーロッパのおもちゃばかりでしたが　少しずつ日本のおもちゃ、広島の作家さんのおもちゃも増えました。子どもたちが木を好きになれば木が使われ地域の山が荒れることも無くなるかも。そんな大きな思いの小さな手助けになる地域のお店をこれからも長く続けたいと思っています。