良い意味で仕事に「我」を出せる。
そこが創業の一番の魅力です。

  • PROFILE
  • 福山生まれの福山育ち。大学でテキスタイルデザインを学んだ後、アーティスト・瀬尾英樹氏のもとで広報活動等に携わる。その後、福山に戻り、地元のデザイン会社に就職。2011年に独立(法人化は2015年)してからは、広告からホームページ、映像関連の制作まで、お客さまのデザインに関するあらゆるニーズをトータルにサポートしている。

教えて先輩!創業でつまずくポイント、乗り越えるコツ その1
商工会議所や地元のネットワークから、仕事が広がった。

家でやっているうちは経営者じゃない。
そう言われて創業したのが始まり。

 最初は「創業するぞ!」という明確な意識もなく、知り合いから名刺や広告物、ホームページなどの制作依頼を受けて、それが次第に増えていく感じで仕事が始まりました。しかしある時、すでに創業した同級生から、「家で仕事をやっているうちは創業じゃない。同じ土俵に立っていると思わないでくれ」といった厳しい一言をもらいました。“彼の言葉には一理ある”と奮起したおかげで、ようやく自分で会社を起こすという意識を持てた気がします。早速事務所を借りて、スタッフも1名雇い入れました。
 法人化したのは2年前ですが、それまでも一つ一つクオリティーの高い仕事をしていくことで、クライアントが少しずつ広がっていました。ほとんど営業はしていないのですが、同級生に誘われて商工会議所の青年部に所属していたので、そのつながりから仕事が派生したこともありました。地元のネットワークを築いていくきっかけづくりとして、やはり商工会議所という存在は貴重ですね。
 また、デザイン関連の仕事は通常代理店を通して発注されることが多いのですが、当社の場合、直接お客さまとやりとりをさせていただき、広告物からWeb・写真・ロゴ・サイン・店舗など、デザインに関することはすべてワンストップで対応しています。お客さまにとってもその気軽さが魅力であり、顧客獲得の要因につながっていると思います。しかしダイレクトにお客さまとやりとりすると、それだけリスクを抱えることにもなります。印刷代など大きな金額が動く際は、外部への発注費もこちらで用意しなければならないので大変です。

教えて先輩!創業でつまずくポイント、乗り越えるコツ その2
経理などの把握は重要だが、任せることも重要だった。

少しでも本業に専念できるように、
経理部門はパートさんにバトンタッチ。

 2年前に法人化してから、本業に携わるスタッフは3人体制にしています。経理部門はパートさんにお願いしているのですが、それは半年前ぐらいからです。法人化してもしばらくは自分が経理を担当していました。自分でもある程度は知っておきたいと思って、経理事務も行っていたのですが、法人化してから仕事もお金の流れも増えたので、思い切ってパートさんを入れることにしました。実際、経理を任せるようになってから自分の負担も随分減ったので、「こんなことなら、早く任せておけば良かった」と思いましたね(笑)。でも本業に差し障りのないうちは、勉強のために自分でやってみるのもいいと思います。
 それにしても、会社を法人化した時には、思った以上にお金が動くんですよ。税理士さんや社労士さんに払うお金、事務所の引っ越し代など、その他もろもろ結構出費がかさみました。今となっては笑い話ですが、「定款に貼る収入印紙が何万円もするってどういうこと?」とびっくりしたことがあります。会社を起こすのもタダではないのです。公証人役場や法務局に払う法定費用も必要となるし、専門家に手続きを頼めばその手数料も必要です。手続きだけで、ざっと30万円ぐらいは掛かるということを意外とみんな知らないんですよ。自分も体験して初めて分かりました。今から創業を目指す方も、その辺はしっかりリサーチしてから行動してください。
 またデザインのように専門スキルを要する仕事は、単純に1人増やしたからといってパフォーマンスが上がるものではありません。幸い自分の場合、スタッフに恵まれてはいますが、それでも未経験者を育成するのはそれなりに大変でした。スタッフを雇う場合は、育成と採用のバランスを考えながら、行った方が良いですね。

教えて先輩!創業でつまずくポイント、乗り越えるコツ その3
リターンは大きくなるが、リスクへの心構えも必要だった。

仕事の失敗は仕事で取り返すしかない。
大切なのは信用まで失わないこと。

 デザインという仕事は、たくさんの人の目に触れる機会があるので、どこかでミスをすると、それがカタチとなって、ずっと人の目にさらされることになります。さらに当社では、直接お客さまから仕事を受けているため、何かミスがあった時、自社でミスをカバーしなければなりません。リターンも大きい分、リスクも高くなるわけです。
 以前、たった一文字の誤植で、数十万円の自腹を切って、印刷し直したこともありました。仕事の失敗は、仕事で取り返すしかありません。一番怖いのはお客さまの信頼を失うことです。自腹を切るのは仕方ないことだと思っています。高いレッスン料でしたが、自分もスタッフも、信頼をつなぎとめることの重要さを、身をもって知ることができました。
 創業を決意すると、そこまでの道のりに意識がいき、意外とその後の経営を忘れがちです。でも本当に大変なのは創業してから! 特に経営者は先のことを考えると、いろいろ決断しなければならないこともあり孤独です。経営塾やセミナーなどに参加して、視点を広げておくことも必要ですし、気軽に相談できる人を持つことも大切です。常に客観的な視点で、「今、自分がマーケットのどの位置にいるのか」といった意識を持っておくと良いと思います。
 創業すると、おのずとさまざまな方と出会う機会に恵まれ、自分の視野も広がります。それが創業の魅力でもあるのですが、その魅力を大いに活用して、新たなことに挑戦できる態勢を整えていれば、ビジネスも自然と成長を遂げることができると考えています。

会社情報

事業所名 株式会社ロポロデザインクリエーション
所在地 〒720-0077 広島県福山市南本庄5丁目2-28
連絡先 TEL : 084-982-8656
ホームページ http://ropolo-design.com/
創業 2015年
従業員数 3名
業種 サービス業
事業内容 デザイン制作

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