データサイエンスで、
ビジネスの新たな未来を切り開く

  • PROFILE
  • 2004年株式会社サイバーエージェント入社。2006年3月に株式会社ALBERTに転じ、データ分析業務を担当。顧客行動分析やDMP構築アドバイザリー等、多数のプロジェクトを担当。2016年9月にHR&Learning分野専門の分析会社Rejouiを設立。アナリティクスアソシエーションプログラム委員、 データサイエンティスト協会スキル定義委員、WiDS HIROSHIMAアンバサダー。株式会社Rejoui代表取締役を務めながら関西学院大学大学院ビジネススクール、HBMS県立広島大学大学院の非常勤講師としても活躍中。2021年には、地元・広島に株式会社Rejouiの支社を開設。同年6月、日本統計学会統計教育賞を受賞。

教えて先輩!創業でつまずくポイント、乗り越えるコツ その1
創業するなら、独自の強みを持つべし

プレーヤーだからこそ教えられる
データサイエンスの最先端。

 創業自体は5年前に東京で行いましたが、もともと私が広島県出身ということもあり、このたび企業誘致の制度を活用して広島に支社を開設しました。現在、当社が手掛ける事業は大きく3つあり、一つは企業のデータ利活用のお手伝い、次にデータサイエンティストといわれる人材、つまり統計解析やAIの分野で活躍できる人材の育成事業、そして最後に組織におけるDX推進のお手伝いです。
 こうした事業はすでに広島でも行われていますが、私どもの強みは解析実務と人材育成の双方を同時に展開している点です。現場で活躍するプレーヤー自身が教育も担当するケースは少ないらしく、当事者としての成功体験・失敗体験を盛り込んだ、内容の濃いプログラムをお届けできています。また、いち早く現場のトレンドを反映できるのも当社ならではの強みと自負しています。

 さらにもう一つ、当社の強みを紹介するなら、Women in Data Science (WiDS)の取り組みが挙げられます。この活動は、米国スタンフォード大学が中心となって展開しており、データサイエンス領域で活躍する女性たちが活発に意見を交換し、同領域への新たな参入者(特に女性)を増やすことを目的にしています。私たちRejouiもこの活動を支援して、広島と人、そして世界をつなげていきたいと考えています。
 “データサイエンティスト”という言葉は、ここ10年ほどでようやく認知されてきましたが、今後は国を挙げての育成が急務の分野です。私にとって、広島での事業は“第二の創業”ともいうべき挑戦。これから地元にデータサイエンティストという可能性のタネをまいていきたいと考えています。

教えて先輩!創業でつまずくポイント、乗り越えるコツ その2
採用は肩書やスキルに惑わされてはいけない

「理・情・意」の社名に込めた思いが、
共感できる人材を集め、組織をつくる。

 実際に創業するにあたって、まず心掛けたのは「前職からのお客さまを持ってこない」ということでした。これは私の中の美学といってよいかもしれません。たとえお客さまから話を持ち掛けられても、まずは前職場に筋を通すという強い思いがありました。そのため創業してから3カ月間は、さまざまな業界のセミナーや交流会で顧客開拓に励みました。それまでは登壇する側でしたが、以前の会社の看板がなくなってからは、その機会もなくなりました。そこでスタッフとして参加して、つながりたいと思った方となるべく身近にお話しできるように、裏方の仕事も率先してやらせてもらいました。
 また、技術や最新動向の把握に関しては、経費を惜しみませんでした。現在、当社はデータサイエンティスト協会の一員でもあるのですが、同会に参加するには30万円の加盟費を要します。これは資本金300万円の会社にとってはかなりの出費でした。支払う時は身を切るような思いでしたが、今になってみればこの投資が生きていると実感しています。
 その他、創業時を振り返ってみると、なかなか法人名義の口座が開設できなかったり、大企業と直に新規取引を始めるのが難しかったりと、大小様々な苦労はありましたが、楽観的な性格のせいか、ビジネス面で大きな苦労をした感覚はありません。
 一方で、人材の面で反省することは多々あります。例えば、創業して1年目頃に人を雇うことになり、申し分ない肩書やスキルを持った方に来ていただきましたが、当社にはうまくマッチせず、試用期間のみでお断りしました。それ以来、自分の中では、スキルより人格重視の人材採用を心掛けています。具体的には当社の社名の由来である「理・情・意」の3要素を特に見ています。「理」とは論理的に物事に接する力であり、「情」は情熱の情、そして「意」は物事を前に進める意思の力です。評価についても、見えないところでどれだけ人の支援ができているかといった点に注目し、各自の努力を正当に評価するよう努めています。

教えて先輩!創業でつまずくポイント、乗り越えるコツ その3
自分に合ったビジネスの規模を見極める

同じ船に乗るメンバーには定員がある
大切なのは舵取りをする船長を育てること

 現在、当社には17名の社員が在籍しており、意図したわけではないのですが全て女性です。働く女性の多くは人生の節目節目で壁にぶち当たることが多く、前向きな意思があるにもかかわらず、キャリアが分断されることがあります。当社にはそんな悩みを抱えながらも、前向きに働く道を探す人が集まっているようです。
 以前、私が尊敬する先輩に創業について相談したところ、「独立する際、個人事業主でやるのと、会社でやるのは全く違う。会社であれば雇用を生み出し、社会の公器としての役割を果たすこともできる。菅さんは後者でがんばるべきだ」というアドバイスをいただきました。その言葉に納得させられ、結果的に創業の道を選んだのですが、こうして17人のメンバーと出会い、彼女らの働く道を切り開けたことは、社会的にも意義があると感じています。
  私は前職で大変恵まれた環境のもと、自分自身を成長させることができました。今度は自分が立ち上げた会社で、社員が互いを思いやりながら、事業に邁進できる理想の組織をつくるという夢があります。これは創業したからこそ芽生えた感情であり、創業の魅力の一つです。
 とはいっても、私が経営者としてマネジメントできる規模は、20人が限度だと感じています。そこで一つの船に乗る定員が20人なら、今後は船長となる人材を育てて、それぞれが船の舵取りをするスタイルを考えています。今後のビジネスの在り方についてはまだまだ模索中ですが、人は増やさず、売り上げを増やしていく道を進みたいと思います。
 この秋、当社は創業6年目に突入しましたが、これから創業される方には、とにかく失敗を恐れず一歩を踏み出してほしいです。幸い、広島には創業者を応援する風土があり、制度も整っています。私自身は残念ながらそうした制度をまったく利用してきませんでした。これは単に知らなかったからです。皆さんはそんなことがないようにきちんと情報収集を行い、賢く制度を利用してほしいと思います。がんばってください。

菅さんが執筆に参加した書籍

会社情報

事業所名 株式会社Rejoui
所在地 〒151-0053 東京都渋谷区代々木2−30-4
連絡先 info@rejoui.co.jp
ホームページ https://rejoui.co.jp
創業 2016年9月
従業員数 -
業種 専門・技術サービス業
事業内容 DX推進支援
データサイエンス教育
データ分析・利活用コンサルティング

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