プラスの喜びをお客さまへ。
身近な仕組みで最大限の成果を。

  • PROFILE
  • パソコンスクールのインストラクターとしてキャリアをスタート。その後は、大手通信会社の企画・営業部門において業務効率化のシステム設計や、中四国最大級の法律事務所においてWeb広報やセミナー運営を経験。2011年より、NPO法人広島経済活性化推進倶楽部(KKC)に所属し、事務局長・理事として経理からイベント運営、司会まで幅広い役割を10年間担う。2018年1月に+COCOを創業。また同時期、安田女子大学 情報処理基礎コースの非常勤講師に着任。2020年3月に法人化し、株式会社プラス・ココを設立。社名のプラス・ココには、喜び・成長・利益・幸せなど、さまざまなプラスを「個々に」「ココに」届けるという創業の思いを込めている。

教えて先輩!創業でつまずくポイント、乗り越えるコツ その1
事業の方向性を左右するブランディング

次のステージに進むには、
上手に捨てる勇気が必要。

 当社はExcelやAccess、kintoneといった身近で親しみやすいツールを用いて、業務の効率化をお手伝いしています。
 私は以前、大手通信会社でシステム設計、また大手法律事務所ではWeb広報やセミナー運営を担当していました。ExcelやAccessを使用した業務の効率化を得意にしていましたが、結婚を機に仕事から離れることに。1年後に別の会社で仕事に復帰してシステム運用管理・広報の仕事をはじめましたが、雇用されている立場では、自分の能力を十分に発揮できないと感じることに。それなら「自分でビジネスを始めよう」と思い立ったのが創業のきっかけです。「雇用される安心感より、いい仕事がしたい!」という思いが強かったのでしょうね。いざ創業を決めたら、心の中は期待感やワクワク感でいっぱいになりました。
 だから創業に対する不安は、それほど感じていなかったと思います。当初は私一人でスタートしたし、事務所も自宅でした。そのためリスクを負う必要はほぼありませんでした。私自身も「走りながら考えればいいや!」くらいに思っていましたし(笑)。ただ、これには反省点もあり、創業時にもっとブランディングを真剣にやるべきだったな、と後悔しています。
 創業したばかりの頃は往々にして、自分にできることは何でもやろうと思いがちです。私もそうでした。もともと企業向けの事業を想定していましたが、創業と同時に大学の非常勤講師の話が舞い込み、学生を対象に情報処理のノウハウを教えることになりました。しかし、講師の仕事はインストラクター色が強すぎたせいか、個人が対象のビジネスとして見られるようになってしまいました。また、講師をしている間は営業らしいことも全く行っていませんでした。そのため、根本的にブランディングを見直す必要があり、大学講師の仕事は3年を区切りに辞めることにしました。
 その後は、経営者の集まりや勉強会に足しげく通い、参加するセミナーやイベントも見直すなど、BtoBとしてのイメージ向上や認知度アップに努めました。ビジネスシーンで映えるように、スカートではなくパンツスーツを着るなど、見た目にも気を配りました(笑)。ある時期までは「何でもやる!」という姿勢は大切ですが、時期が来れば自分が手掛けない領域を決めて、それ以外は潔く手放す覚悟が必要です。目指すビジネスを実現するには、上手に捨てる術を身に付けなくてはいけません。

教えて先輩!創業でつまずくポイント、乗り越えるコツ その2
最小限のコストで、最大限の目的達成へ

お客さまファーストの精神から、
フルーガル・イノベーションを追求。

 BtoBの領域で事業を展開すると決めたのちは、「顧客ファースト」の精神を徹底しています。具体的には、フルーガル・イノベーション(簡素なイノベーション)というテーマを掲げており、身近なツールを活用して、最小限のコストで最大限の目的を達成できるサービスの提供に取り組んでいます。具体的には、ExcelやAccessを活用したオーダーメードでのシステム構築や、業務アプリの構築サービスkintoneの導入支援などを行っています。
 しかし、ここでもわが社のこだわりがあります。通常、他のIT企業は、プログラム言語を用いて開発を行いますが、当社は、そうした専門的な仕組みを使わない、いわゆるノーコード・ローコードでシステムを構築します。これは全体の課題を俯瞰して、いかに簡易な仕組みの組み合わせで業務の自動化を成し遂げるという構想力が求められますが、ユーザー側から見ると導入後も自分たちで自由に改修していただけます。ランニングコストを抑え、個々の目的に合わせたカスタマイズを可能にすることで、まさに“お客さまにやさしいサービス”を実現します。お客さまにとって余計な機能は付いていないし、欲しいものだけでカスタマイズできると、コストは最小限。イイコトだらけなのです!
 ただこれは、当社にとってはなかなか大変な業務です。一対一で徹底的にお客さまと伴走しながら、一緒に良いものをつくっていきますので、利益率は決して高くなりません。過去には同じようなサービスを手掛けられていたライバル社もありましたが、その業務の過酷さからか(苦笑)早々に撤退され、今ではあまり見かけなくなっています。ある意味、ブルーオーシャンですね。しかし、「お客さまの喜ぶ顔が見たい」という思いで創業した私にとっては、少々手がかかっても譲れないサービスなのです。
 とはいっても、手間のかかることばかりでは、ビジネスが広がらないのも事実です。そこで最近は、新サービスも開始しました。こちらは多くの企業に共通する課題を対象に、Excelの定番機能を用いて予め用意した業務自動化サービスを提供するものです。こちらのサービスはカスタマイズの必要がないため、手間を掛けずに売上を生むことができますが、まだまだ認知が足りないため、今後の伸びに期待しています。こちらの価格は、ゼロから組み上げるコストと比較すると「これくらいの出費ならなんとかなるかな」といった価格帯に抑えています。あくまでもお客さまが望むサービスを、手の届く価格帯で提供する、プラス・ココらしいサービスだと自負しています。

教えて先輩!創業でつまずくポイント、乗り越えるコツ その3
市場を見極めて適正価格を探る

最終的に困るのはお客さま。
無責任な安売りはしない。

 リーズナブルな価格で提供したいと思うものの、価格設定は創業後の悩みの一つでした。当社の市場は見本となる価格(相場)が存在しません。だからといって、むやみに高く設定したくないし、逆に市場を荒らす価格にもしたくない。悩んだ末にまずは“キャンペーン”として比較的手を出しやすい価格帯から試行し、お客さまの反応を見て、自分なりに適正価格を探っていました。
 しかし、当初の価格帯を覆すのはそう簡単ではありませんし、適正な価格のあり方に悩む日々でしたが、ある時中小企業診断士の先生に相談したところ、「一つの業務に対して、何時から何時まで作業したのか、移動時間なども全て筆記しておくこと」とアドバイスを頂きました。そこから算定した時間給を参考にすることで、徐々に適正価格らしいものが定まってきました。
今でも「これ以上は追加料金が発生します」と告げるのは勇気が要りますし、「それなら止める」と言われると、「報酬よりも、いい仕事がしたい!」というジレンマに見舞われます。でも、こちらが無理をして事業が立ち行かなくなったら、結局困るのはお客さまです。価格をお伝えする時は、そうした強い思いを胸に刻み、自信を持って価格をお伝えしています。
 最後になりましたが、今後の目標は、事業継承も選択肢の一つにいれつつ社員を増やしていくこと、広島に限らず海外の企業ともビジネスを展開していくことです。それと、これはひそかな野望ですが、「広島でExcelといえば、沖村さん!」と言われるようになりたいですね(笑)。
創業の魅力は、何といっても自分の好きなことができること。しかも「役に立っている」という実感は、創業してからの方が強いです。前に進むことを諦めない限り、道は開けます。自分で会社の行き先を決めるのは、創業しない限り経験できないことです。もちろん責任は伴いますが、それ以上の喜びや成長など、プラスをもたらしてくれるはずです。

会社情報

事業所名 株式会社プラス・ココ
所在地 〒732-0016 広島県広島市東区戸坂出江2丁目5-18-605
連絡先 TEL:082-215-3959
ホームページ https://plus-coco.jp
創業 2018年
従業員数 -
業種 専門・技術サービス業
事業内容 業務改革

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