修行ゼロ、ノウハウゼロの3人が仕掛ける
新しいチョコレート作りのムーブメント。

  • PROFILE
  • 2014年、福岡から移住してきた中村さんが、同じく移住者の"A2Cくん"と"やっさん"を誘って、尾道・向島で「USHIO CHOCOLATL(ウシオ チョコラトル)」を創業。話題のBean to Bar(カカオ豆からチョコレートになるまでを一カ所で製造すること)をいち早く取り入れ、カカオ豆と砂糖だけを使って、豆の個性を生かしたチョコレートの製造を始める。そのユニークなスタイルと味が次第に人気となり、2018年2月には広島空港内に新業態店「Foo chocolaters(フーチョコレーターズ)」がオープン。新しい"広島の味"として躍進を続けている。

教えて先輩!創業でつまずくポイント、乗り越えるコツ その1
行動を起こしたなら、次につなげる努力も忘れずに!

カカオ豆を求めてグアテマラを放浪。
ダイレクトトレードの道を体当たりで開拓。

 そもそもの始まりは当時、尾道のカフェで働いていた僕が、同じ移住者である“やっさん”(広島出身)と“A2Cくん”(兵庫出身)に出会ったことでした。そんなある日、僕がニューヨークで人気のチョコレートショップ、「MAST BROTHERS CHOCOLATE(マストブラザーズチョコレート)」のことを知り、「こんなチョコレート作りをしてみたい!」と彼らに持ち掛けて、2人を根気強く口説きました。それが“Bean to Bar”と呼ばれるチョコレート作りのスタイルでした。
 “Bean to Bar”とは、文字通りカカオ豆(Bean)からチョコレート(Bar)までを一貫して作るスタイルのことを言います。当時は豆の産地によって、味と香りが全く異なるシングルオリジンコーヒーがブームとなり、チョコレートも同じような視点で語られるようになると感じました。僕らもカカオ豆とさとうきびのみを使って、豆の個性を最大限に生かしたチョコレートを作りたかったので、それには自分たちの目の届く範囲で作業ができる“Bean to Bar”というスタイルが一番しっくりきました。では、肝心の豆をどうするかというと、ここからが僕らの冒険の始まりでした(笑)。

 一般的にカカオ豆は商社が扱っているので、さまざまな産地や農園の豆が混ぜられて売られています。それでは豆の味を引き出すことができません。そもそも僕らが創業した頃は、カカオ豆自体が一般に流通していなかったので、「これは直接買い付けに行くしかない!」と、3人でグアテマラやパプアニューギニアへ旅立ちました。ところが何のツテもないまま行ったため、最初の交渉は撃沈しました(笑)。しかし、その時に現地にいる日本人と友達になり、つながりが作れたおかげで、結果的にはダイレクトトレードを成立させることができました。時には結果を恐れず、行動してみることも大切! でも、その行動を次につなげることは、もっと大切ですね。

教えて先輩!創業でつまずくポイント、乗り越えるコツ その2
チャンスは、人がやっていないことに潜んでいる。

世の中の流れと逆を行く勇気がなければ、
新しいチョコレートの波には乗れていなかった。

 念願の豆を手に入れて、ようやくチョコレート作りを始めることができましたが、次なる課題は販路の開拓です。僕らがまず商品を持って行ったのは、東京の「リトルナップコーヒスタンド」というカフェでした。こちらはいわゆるシングルオリジンコーヒーのお店で、僕らが作るチョコレートと同じように、豆の味を生かしたコーヒーをお客さまに提供していました。だから、このお店のお客さまには共感してもらえ、よい意味で広まるという確信があったわけです。

 それに同店のたたずまいやインテリア、流れている音楽、店主の考え方など、店が醸し出す“文化”のようなものに憧れていました。だからこそ、こういうお店に僕らのチョコレートを置いてもらいたい。ここに来るお客さまの感度に訴えることができたら、「きっと売れる!」という予感めいたものもありました。結果的に僕らの予感は的中し、おかげさまで創業当初から黒字を出すことに成功。東京だけでなく、岡山や福岡のカフェにも商品を置いてもらい、徐々に販路を拡大させることができました。
 あらためて創業時を振り返ってみると、新しいチョコレートのムーブメントが起こせるという予感はあったものの、僕らはどこかでチョコレート作りを修行したわけでもなく、確かなビジネスノウハウを持っていたわけでもありませんでした。でも3年かけて修行したり、準備に多大な時間を費やしたりしていたら、きっと今の波には乗れていなかったと思います。どこかで時間をかけて修行を積むことや、大量生産のように効率の良いやり方が王道だとしたら、僕らのやり方は限りなくその反対を行くもの。しかし、そうした“世の中の流れとは逆を行く勇気”こそが、僕らの挑戦がうまくいった要因ではないかと感じています。実はチョコレートを六角形にしたのも、「他と同じにしたくない」という、僕らのひそかなこだわり。思い切って逆に舵を取れるかどうか、そこに新しいビジネスの可能性が潜んでいるのではないでしょうか。

教えて先輩!創業でつまずくポイント、乗り越えるコツ その3
新しいビジネスモデルで、次のステップに!

せっかく会社を経営しているのだから、
新しい冒険にも貪欲にチャレンジしたい!

 創業から4年目を迎えた今、せっかく会社をしているのだから、いろいろ実験もしてみたいという思いがあり、新たなビジネスの展開も図っています。その一つが広島空港内にオープンした「Foo chocolaters(フーチョコレーターズ)」という新しい店舗です。こちらの店舗で販売するのは、ダイレクトトレードのカシューナッツとカカオを使ったヴィーガン対応のチョコレート。さまざまな宗教の人が食べられるように、乳製品などの動物原料は一切使っていません。併設された工房では、焙煎から包装までの製造工程を見ることができます。ゆくゆくは、カフェ営業も併せて行っていければと思っています。

 それともう一つ、これまで培ってきたダイレクトトレードのノウハウを生かして、アジアの農産物や雑貨を輸入・販売する貿易会社もつくろうとしているところです。新業態の誕生に伴い、スタッフも23人に増えました。今後は、女性やLGBTの方たちを積極的に雇用し、多様な人材が活躍できる職場をつくっていきたいとも考えています。それぞれが“らしさ”を発揮できるような会社をつくれたら、また新しい方向性が見えてくるかもしれません。どんな結果が生まれるのか、僕自身も今からとても楽しみです。
 創業時から現在までをざっとご紹介しましたが、僕らが考える創業の楽しさは、やはり自分が好きなように舵取りができるところだと思います。もちろんビジネスなので、100%好きにできるわけではありませんが、それでも“不自由”も含めて、全てを自分たちで決めることができるのは魅力的です。たとえ売り上げが良くても悪くても、自分たちに対する正当な評価だと考えれば、かえってやりがいに感じられるのではないでしょうか。これから創業される方にも、ぜひこの楽しさを味わっていただきたいです。僕らも引き続きかっこよく、面白いことに貪欲に挑戦していきたいですね。

会社情報

事業所名 AKATSUKI SYNDICATE株式会社
所在地

〒722-0071 広島県尾道市向島町立花2200 自然活用村二階

連絡先

TEL :0848-36-6408

ホームページ https://ushio-choco.com/
創業 創業 2014年11月、法人設立2017年3月
従業員数 23名
業種 食品製造
事業内容

チョコレートをはじめとする飲食料品の製造、販売及び輸出入

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