保育園隣接のオフィスで
ママたちがキャリアを磨く、新しい働き方。

  • PROFILE
  • アパレル販売員、情報誌の提案・企画営業としてキャリアを積み重ねていた中で、妊娠・出産・職場復帰を体験した。自身は配偶者や両親のサポート、会社の理解で乗り越えてきたが、子育て中のママが働けない現状を実感し、"peekaboo"を2016年に立ち上げ。ママたちは、子どもと一緒に仕事場に行き、保育園に預けた後、同じ敷地内にあるオフィスで仕事をする。仕事はWEBライターなど知識やスキルが身に付くものが多く、ここで働くことによって、今後のキャリアを見つけることも可能になっている。2020年3月には3拠点目が誕生し、他県へのフランチャイズや新しい事業部の立ち上げなど、事業は拡大している。自身も3人の育児に奔走中。

教えて先輩!創業でつまずくポイント、乗り越えるコツ その1
熱心に動けば、自然と相手も応えてくれる。

自身の経験を踏まえて構想を練り、
未知の世界への挑戦。

 私は、創業前の勤め先で、産休を取り職場復帰したことがあります。2015年頃ですが、当時、クラウドソーシングによる在宅勤務がテレビ等に取り上げられて、脚光を浴びていました。でも私は、子どもが横にいながら在宅で仕事をするのは難しいのではと感じていました。
 そんなある日、どうしても午前中に企画書を出さなければならないのに、その日に限って子どもが熱を出したのです。保育園を休ませて、自宅で企画書を作っていたのですが、子どもに手を取られて考えることができず、パソコンさえも打てない。途方に暮れて、夫に一時帰宅してもらって、子どもを預け何とか企画書を書き上げました。そういうママたちの状況を何とかできないかと思ったのが、「子育てママの働くオフィスpeekaboo」を立ち上げたきっかけです。すぐに構想を練り、保育園をつくるにはどうしたらいいかを考えはじめました。ちょうど保育園不足が問題になっていましたので、きっと、世の中に困っている人は沢山いる。そんな確信もありました。

 しかし、保育園の立ち上げについて全く知識がなかったので、市役所に足しげく通い、様々な制度を教えていただきました。認可外保育園や認可保育園としての事業所内保育園の選択肢もありましたが、私の相談に市役所の担当の方が熱心に応えてくれて、「そういった保育園を創られたいなら、今国会で審議されている企業主導型保育園はどうですか?もう少し待ってみたら閣議決定されるかもしれませんよ」と丁寧に教えてくださったのです。おかげさまで、夫が経営する会社の一部門として、広島県の企業主導型保育園第1号の採択を受けることができました。企業主導型保育事業に採択されて助成金が出たことにより、最初は「オフィスの事業でプラスが出れば、保育園はマイナスでもいい」と考えていた収支においても、初年度から黒字を出すことができました。その結果、半年後には分社化し、株式会社peekabooとしてスタートすることとなりました。

教えて先輩!創業でつまずくポイント、乗り越えるコツ その2
思い切った改革で次のステップへ!

一度は挫折。そして苦悩。
その経験を経て理想の保育園経営へ。

 創業後、最も苦労したのは、保育園の運営でした。私自身が保育園のことを深く理解できておらず、初めの頃は「保育園は法律を守って運営し、子どもを安全に過ごすことができる場所」という認識でした。現場の保育士さんたちも「保育は命を守ること」と捉えていて、大きなギャップはないものの、私の知識不足により保育士さんたちは不安を抱えながら現場運営をしてくれていて、少しずつのズレが大きくなっているように感じていました。
 「ただ良くしたい!」と漠然と思っても保育の知識のない私がどうしたらいいのか…。と、そのように保育園の運営を模索している中、2拠点目の話が出て園長先生を募集したところ、とても信頼できる方に出会えました。その方に保育のイロハを教えていただき改めて自分自身の知識のなさに気づかされたことで、「自分の子どもを入れたいと思う保育園」を考えるようになりました。
 私自身もあらゆる本を読んで幼児教育について調べ直し、研修へ行き幼児教育の講師の資格を取得したり、未来教育指数1位と言われるニュージーランドへ行き研修を受けに行きました。そして少しずつ、「子どもたちに大切な教育は何か?」「保育園に求められるものは何か?」という答えが、自分の中でまとまっていきました。そして保育園のマニュアルを一からつくり、思い切った保育園改革に取り組みました。
 今では「peekabooに入れておけば間違いない」という自負があります。募集をかければ応募がたくさんあり、保育園はずっと待ちの状態です。去年は、私の子どもも入れなくて、待機児童になったくらいです(笑)。私たちと同じ方針でやりたいと、見学に来てくださる企業の方もたくさんいらっしゃいます。フランチャイズ事業部を発足させたのも、こういった要請があったからです。
 今思い返すと、私が無知だった故に志のあった保育士さんが辞めてしまったことを凄く反省しています。その反面、未熟な私に立ち上げ当初からずっとついてきてくれている保育士さんも沢山いてくれることにとても感謝しています。多くの保育士さんは子育て中だったり、peekabooの事業理念に賛同してくれており、今があるのは、ずっと一緒に頑張ってくれている皆さんがいるからこそだと、子ども達の笑顔、ママの笑顔を見るたびに感謝しています。

教えて先輩!創業でつまずくポイント、乗り越えるコツ その3
ピンチな時はいつでも社長自らが動く。

いつでも人のためにとことん考えたい
「人のために人に尽くす」ことで周りを笑顔に

 保育園以外の事業は、私自身の知見がある業務内容で、取引先にも恵まれ、順調にスタートしましたが、ある日2日間だけ仕事が全くなくなったことがあります。ちょうど第2子の臨月前でしたが、その事業部の責任者と一緒に東京に飛んで2日間営業に回りました。スケジュールをパンパンに詰め込んで、商談したのを覚えています。待っていても仕事が来ないなら、私自身も動かないといけないと思ってやり抜きました。その時にお付き合いが始まったクライアントさんとは、今でも取引が続いています。
 どんな時でも現場で困ったことがあれば最終的には社長が動くべきだと思います。社長になったら、楽できると思われる方も多いかもしれませんが、そんなことは全くありません。私は社長をやりながら、マネージャーもやるし、リーダーもやれば、プロジェクトの立ち上げでは実際の業務もやってみます。人任せにして、上から高みの見物のような社長ではなく、一緒に伴走することをポリシーにしています。
 何より大事にしたいのは、働いてくれる仲間みんなの笑顔です。「ご機嫌に」というのは私の人生を変えてくれた上司から受け売りの言葉です。一緒に働く皆さんがご機嫌に働くことができることが何よりも大事なことだと思っています。みんなの笑顔やお客様の笑顔が失われることがあれば、この会社が存続する理由はありません。この会社があって良かったと思って働いてくれるママたちがいて、私たちを求めてくださる企業がある限り、私はがんばろうと考えています。会社を大きくしたいとは全然思っていませんが、働く方の給料をもっと上げられるようになりたいという気持ちはあります。それが結果として、成長につながっているのかもしれません。

 急成長と言われることもありますが、私の中ではゆっくり着実に進んできたと感じています。これまで保育園にばかり面積を割いて、オフィスにあまり投資できていなかったのですが、3拠点目はママたち専用のスペースをつくるなど、空間設計や家具にも少しこだわりました。「こんなにすてきなオフィスができ、来るだけでテンションが上がります」と言ってもらえたのですが、本当に良かったなと実感しています。「社長しか得られない醍醐味は何ですか?」と聞かれると即答できることは1つで「私にしかできない仕事で沢山の笑顔が創れること」かと思います。

会社情報

事業所名 株式会社peekaboo
所在地 〒731-0101 広島市安佐南区八木1-20-12セセラガーデン1F
連絡先 TEL:082-873-3400
ホームページ https://www.peekaboo.co.jp/
創業 創業2017年1月
従業員数 189名
業種 福祉サービス、情報サービス
事業内容 企業主導型保育園の運営を行うとともに、隣接するオフィスにおいて、WEBライティング事業、アウトソーシング事業、メディア事業などを行う

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