大好きな尾道の海で働きたいと、
大学卒業と同時に遊漁船業に参入。

  • PROFILE
  • 漁師だった祖父の影響もあり、幼い頃より地元・尾道の海に親しむ。高校在学中に小型船舶免許1級を取得したものの、家族の強い勧めにより、サラリーマンになるつもりで大学へ進学。ところが大学2年の頃に初めて船釣りを体験し、その魅力にどんどんはまってしまい、釣り師として暮らしていくための道を模索し始める。その後、せっかく決まっていた就職先を辞退し、2018年4月、大学卒業と同時に遊漁船「亀田丸」を創業する。

教えて先輩!創業でつまずくポイント、乗り越えるコツ その1
周りの意見を聞き過ぎると、決断できないこともある。

退路を断つつもりで内定を辞退。
覚悟を決めて親から創業資金を借りた。

 簡単に説明すると、遊漁船とは“釣り船”のこと。お客さまを漁場にお連れし、魚を釣って楽しんでもらうという仕事です。遊漁船業者のほとんどは、親の仕事を継いだか、趣味が高じて創業したかのどちらかで、僕の場合はあえて言うなら後者のケースです。ただ、祖父が地元の漁師だったので、海に関わる仕事にはもともと縁がありました。だから、船舶免許も高校在学中に取得していましたし、大学3年生の時には遊漁船登録申請も済ませ、国から許可も得ていました。
 しかし、海の仕事の大変さや自営業の難しさを知る家族、特に母親は、遊漁船を創業することに大反対で、最終的には実力行使に訴えるような形で、渋々OKしてもらいました。実はいよいよ就職だという大学4年の時、退路を断つつもりで、親に内緒でせっかくもらった内定を辞退したのです。家族にはそうした状況をつくった上で創業の話を切り出し、やっと認めてもらったというわけです。

 でも、晴れて創業を認めてもらったのはよくても、いきなり大きなハードルにぶつかりました。資金準備です。遊漁船の場合、船を買うだけでも1,000万円以上はかかります。船だけでなく係船用具や索具、エンジン、電子機器といったものまで入れると、初期費用は多大なものになります。それに船を動かすにしてもタダじゃない。ガソリン代も要れば、メンテナンス費用も頭に入れておかなければならない。船を持っているだけで経費がかかる商売ということを、あらためて痛感しました。
 結局、自分の場合、親から借金して費用を捻出しましたが、金額が金額なだけに「これで後戻りできないぞ!」と覚悟を決めることになりました。自分がこけたら、親のお金をドブに捨てることになる。失敗するわけにはいかないですね。

教えて先輩!創業でつまずくポイント、乗り越えるコツ その2
一見不利な点も、見方を変えれば武器になる。

経験やウデがものをいう世界で、
若さは不利なのか? 武器なのか?

 自分の船で商売をしているというと、多くの人は一匹おおかみ的な、自由なイメージを持たれるかもしれません。ところが実際は正反対です。地元の海を仕事場にしているからこそ、“地域”というつながりを無視して仕事はできません。好き勝手にお客さんを釣り場に案内していたら、漁師さんの漁場を荒らしてしまうことになりますので、迷惑が掛からないポイントを見つけて、お客さんをご案内しなければいけません。しかも、お客さんに釣ってもらわなければならないので、釣り場は各業者の企業秘密です。そのため僕らは、営業を行う傍ら常に“釣れるポイント”を探し、いつでも最良の釣り場を提供できるように準備しておく必要があります。

 また遊漁船業者は、お客さまにとって“インストラクター”という一面も併せ持っています。求められれば、アドバイスさせてもらうこともありますが、若い自分にとってはこれが一番やっかいです。お客さまが年配の方だったりすると、僕のような若造が口を挟むのはどうなんだろうと、戸惑うこともあります。
 実際に開業してみて分かったのですが、この仕事は“コミュニケーション力”や“空気を読む力”が意外と大きなウエートを占める仕事ですね。自分としては、海上でお客さまの命を預かっているわけだから、時折ピリピリしてしまいますが、お客さまにしてみれば、船の上にいる間は楽しい遊びの時間。そんな時に僕一人がピリピリしていたら、楽しい時間が台無しですよね。だから営業中は、なるべくソフトな雰囲気を演出するようにしています。しゃべり方も、ぶっきらぼうにならないように努力しているつもりですが、元来不器用なので、うまくしゃべれているかどうかはちょっと自信ないです(笑)。この業界では“若さ”は不利でしかないけど、今の僕には“若さ”しかないのも事実。でも中には「若いのにがんばっているね」と、応援してくれるお客さまもいます。見方を変えれば、不利なことも強みに変えられるのかもしれませんね。

教えて先輩!創業でつまずくポイント、乗り越えるコツ その3
どんな業種でも固定客の獲得は3年以内が目安!

こまめなSNSの発信で集客をアップ!
安全を第一にお客さまとの信頼関係を築く。

 創業して1年もたっていませんが、走り始めた今だから見えてきた課題もいくつかあります。まず一つは、平日をどう稼働させていくかですね。対策としては、ツイッターやインスタグラムなどのSNSを用いて、予約の間口をなるべく広げるように努力しています。自分がIT関連に弱いため、今はまだSNSだけですが、「ホームページを立ち上げて、そこから予約できるようにすれば、業務も効率化できるし集客にもつながるよ」というアドバイスを周りの方からいただきました。今後はそういった部分についても勉強しつつ、導入を検討していきたいなと思っているところです。

 それに遊漁船という仕事は、人を相手にしたサービス業でありながら、農業や漁業と同じで自然に左右されることが多く、なかなか安定しない職業です。しかも、常に危険と隣り合わせです。例えば今年は集中豪雨の影響で海に流木が流れ込み、船が出港できない日がしばらく続きました。無理に出港しても、流木などでプロペラやエンジンを破損し、大きな損害や事故につながるかもしれません。そうなると損失を出すだけでなく、お客さまの安全も守れません。船長としては、まずお客さまの安全を第一に考えた上で、出港できるかどうかをきちんと見極めなければならないのです。そうした判断ができて初めて、お客さまの信頼が獲得できるのだと思います。ただ釣ってもらって、楽しんでもらうだけでは駄目なんだなとつくづく思います。よくこの仕事は、固定客が付くかどうかが勝負だといわれます。それも固定客を集めるのは、3年以内がめどだと思っています。自分もまずは3年後を目標にがんばってみて、次のステップに進むかどうか、答えを出したいと考えています。3年後、順調に固定客が増やせていたら、2号艇も欲しいし、人も雇ってみたい。今は大変なことばかりですが、それでも大好きな海で働けるのはとても幸せです!

会社情報

事業所名 遊漁船 亀田丸
所在地

〒722-0014 広島県尾道市新浜2-13

連絡先

TEL :080-6346-9230

ホームページ https://twitter.com/kamedamaru1098
創業 創業2018年
従業員数 -
業種 遊漁船業
事業内容

遊漁船の運営

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