- P-BERRY 代表
- 石原 正義
カフェインレスコーヒーの伝道師として、
コーヒー市場に新たな可能性を切り開く。
「子どもが飲めるコーヒー」を作りたいという思いから、カフェインレスコーヒー専門店「P-BERRY」をスタート。日本国内ではまだまだ認知度の低いカフェインレスコーヒーだが、マーケットを開拓するため、あえて店舗を持たず、フットワークを生かしたカフェインレスコーヒーの普及活動を展開している。主な活動としては企業や店舗とのコラボレーション、イベント出店など。自身のパフォーマンスにより、コーヒーの魅力を伝えている。
「なぜ、カフェインレスコーヒー?」
商品として育てることから始まった。
名刺の肩書にも入れていますが、実は保育士の資格を持っていて、子どもに携わる仕事がしたいという思いをずっと抱いていました。だったら、「なぜ、コーヒー?」と不思議に思われるかもしれませんが、「カフェインレスコーヒー」というマーケットに注目したからなのです。
日常生活でコーヒーが飲まれる機会は多く、親がコーヒーを飲んでいると、子どもたちも同じように飲みたがります。小さなお子さんは、とにかく親のすることを何でもまねしますが、だからといってカフェインを与えるわけにはいきません。そこで「子どもが飲めるコーヒー」を作れば、家族のだんらんや親子のコミュニケーションがもっと豊かになるのではないかと考えたのです。
実際、カフェインレスコーヒーは、コーヒー先進国のアメリカではすでに当たり前となっており、日本においても妊婦さんを中心に、徐々にニーズが高まりつつあります。しかし、イベントなどでお客さまと接していると、やはり多くの方から「なぜ、カフェインレスなの?」という疑問をぶつけられます。僕としては、そこがビジネスを始めてからの一番の障壁でした。そのような事情から、まずはこの商品の価値を知ってもらう必要があると考え、フットワークを生かした普及活動に努めています。機会があればセミナーを開いたり、企業や店舗とコラボしたり、あるいはイベントに出店するなどして、地道にカフェインレスコーヒーの市場を開拓しています。
商品のPRに出向く際も、若い家族が多いエリアでのイベントや女性が集う美容院、産婦人科など、カフェインレスに敏感に反応してくれるターゲットと触れ合える場所を選んでいます。自分は当面の間、店舗を持たないスタイルでの創業を選んだのですが、商品の認知度を上げるには、今のところこの方法が合っているようです。とにかく、まずはユーザーの裾野が広がるように、地道にネットワークを築いていくことが大切だと考えています。普及活動は大変ですが、マーケットが確立してない商品だからこそ、将来的なブレークの予感もあり、自分がこの分野での先駆者になれるかもという期待も膨らみます。
資金もない、リスクも負いたくない。
そこから生まれたスモールスタートという選択。
創業するに当たり、自分の場合、まずはコーヒー豆を勉強する必要がありましたので、5年間を修行に充てました。準備期間の大部分を専門分野の勉強に費やしたことから、創業そのものに関する勉強のタイミングを逃してしまい、知識も資金も全くゼロからのスタートでした。そのため創業へのハードルが低いスモールスタートを選択しましたが、あえて店舗を持たなかったのも、そうした背景があってのことです。将来、B to Bの卸を主軸にしたいと考えている自分にとって、店舗を「持つ」「持たない」は、さほど問題ではありませんでした。今後も、自分のビジネスプランの中では、店舗を持つ計画はしばらくありません。
現在のビジネス展開は、B to Bのお客さまを増やすことに力を入れていますが、イベント出店などでも多少の現金収入を得ながらPRを行っています。ただ、このやり方で苦労するポイントは、キャッシュフローの弱さです。即入金の現金商売と違い、店舗を持たない卸の場合は、売り上げが増えても、資金繰りに頭を悩ませる状態が続きます。
特に自分の場合は、資金ゼロからのスタートでしたので、創業したての頃は、別の仕事で収入を得ながら、緩やかに創業へ移行するといった方法を取採りましたこれから始めようという方も、リスクを回避するために、許されるのであれば2足のわらじを履く期間があってもよいと思います。また、いくらスモールスタートといっても、資金ゼロではやはり苦しいです。少しでもゆとりをもってビジネスを行いたいなら、ある程度の資金を用意しすることをお勧めします例えば、僕のように店舗を持たないスタイルであれば、最低でも100万円くらいあれば、スタートを切りやすいですよ。
一方で、気を付ける点としては、スモールスタートでハードルを低く設定するのはよいのですが、それが結果的に自分を甘やかすことにもなりかねない、ということですね。特に資金面はシビアに判断しないと、後になって自分を苦しめることになります。
カフェインレスコーヒーを普及させたら、
次はコーヒー農園をオープンさせたい。
実際に創業してみて、僕自身がやりがいを感じているのは、好きなことをやりつつ、それが社会や人の役に立っているということですね。日本ではカフェインの知識が十分でないため、コーヒーとの正しい付き合い方もあまり知られていません。カフェインは子どもや妊婦さんだけでなく、うつ病の方にも良くないとわれ、健康な方でも取り過ぎると、依存症やアレルギーなどの症状に見舞われることがあります。
こうした知識を利用者に伝えながら、安心してコーヒーを楽しめるビジネスが展開できていることは、自分にとっても喜びであり、皆さんにも心から納得していただけるものだと自負しています。しかし、一つの商品やサービスの上にあぐらをかいているだけでは、ビジネスの将来的な展望は描けません。実は自分の中にはもう一つ目標があって、ある程度、カフェインレスコーヒーが認知されたところで、広島県内にコーヒー農園を作りたいと考えています。
そこでは、コーヒー豆を栽培するだけでなく、子どもたちやその家族に農園を開放し、「食」や「農」に触れられる機会を提供したいのです。農園内には、地元のお年寄りの方にとって、憩いの場となるような喫茶店のオープンも考えています。カフェではなく、あえて喫茶店と表現したのは、お年寄りにもなじみやすいスタイルにしたいからです。今はまだ、足場を固めている段階ですので、実現はずっと先のことですが、ビジネスを行っていく上で、次のステップを考えておくことはとても重要だと思います。
これから創業される方にも、常に次の夢を描きながら、自分のビジネスを大切に育ててもらいたいですね。何よりも自分が手掛ける商品やサービスを愛し、それらに誇りを持ってほしいです。創業がうまくいくかどうかは、創業者が自分の仕事をちゃんと愛せるかどうかに懸かっていると思います。
事業所名 | P-BERRY |
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所在地 | 〒730-0822 広島県広島市中区吉島東3-1 |
連絡先 | TEL :080-7010-3970 |
ホームページ | https://pberry.net/ |
創業 | 創業2009年 |
従業員数 | - |
業種 | 飲食料品卸売業 |
事業内容 | コーヒー豆の販売・卸販売、オリジナルパッケージコーヒーの提案 |