子どもたちの“居場所”を目指し、
手焼きのおまんじゅう屋さんを開業!

  • PROFILE
  • 2009年、広島市西区己斐に約7坪の小さなおまんじゅう屋さんを創業。地域密着のお店として運営しながら、広島のデパートなどに出店し、看板商品「福まんじゅう」を口コミで広げてきた。2013年に、株式会社福々庵を設立。2018年には本社を中区南吉島に移転し、広島県内のスーパーなど約20店舗に出荷している。ひろしま産業振興機構の創業サポーター、広島県女性活躍推進アドバイザーとしても活躍中。

教えて先輩!創業でつまずくポイント、乗り越えるコツ その1
思いは大切だが、思いだけでは経営は成り立たない。

販路拡大のためデパートの催事に出店し、
イベントや口コミで商品を宣伝!

 約10年前、人生の大きな転機が訪れ、子ども3人を一人で育てていくことになりました。時代的に、お母さんたちも仕事に出る人が増え、帰ってきても「おかえり」と言ってくれる家庭が少なくなりつつある頃でした。
 帰宅した子どもたちの受け皿となるお店をつくりたい、子どもたちが来やすい店というのはどんな店かと考えた答えが、子どものお小遣いで買えて小腹を満たすことができる、1個50円のおまんじゅう屋さんでした。広島市西区のJR西広島駅裏に約7坪の対面販売のお店を開くと、思った通り、子どもたちがどんどん来てくれました。放課後になると、小学生だけでなく中学生や高校生もやってきて、お店の2階の座敷に上がって、おまんじゅうを食べながら話をしたり宿題をしたり、子どもたちはとても楽しそうでした。でも、経営は成り立たないのです。最初の2年間は、おまんじゅうを焼いては己斐の商店街を行商したり、お花見会場に行って販売したりと、毎日の売り上げをつくるのに一生懸命でした。
 そこで、着手したのが販路拡大です。まず認知度を高めるために、広島市内のデパートの催事には、ほぼ出店しました。催事で販売しながら商品や店舗を知っていただき、店舗に来ていただくためのツール「おまんじゅうプレゼント券」などを配りました。でも正直、厳しかったですね。
 もう一つ始めたのが、おまんじゅう屋さんの工作教室です。地域のコミュニティーの場として、未就園児の親子を対象に月に数回、お店で工作を楽しむという企画を始めました。放課後は子どもたちでいっぱいになるため、空いている昼間に始めました。材料にお金をかけられないから、自らどんぐりや松ぼっくりを拾って来てリースにしたり、羽子板や万華鏡を作ったり。親子で楽しんでいただきながら、商品を宣伝していきました。あくまで商品だけを宣伝するのではなく、商品と人をセットにしたスタイルでビジネス展開を図っていったのです。

教えて先輩!創業でつまずくポイント、乗り越えるコツ その2
2つの拠点を統合することにより、経営を効率化。

順調に拡大しながらも、将来を見据えて、
立ち止まることも必要だった。

 3年目ぐらいから、学校のバザーや会社関係のイベントなどに使っていただけるようになり、大量注文が入り始めました。一度に500個とか800個の注文が増え、西広島の店舗にある1台の焼き台では生産が追い付かない。そこで広島市中区光南に、約3坪の工場を造ったのです。同時に、菓子製造業の許可も取りました。
 その後、スーパーへの卸も軌道に乗りはじめ、卸先が7〜8件になって毎日2500個のおまんじゅうを焼いていました。それだけの数のおまんじゅうを光南の工場で生産しながら、西広島店のお客さまのことも考える。しかも自分の子育てもある。すると、私の身一つでは全てをこなしきれないと感じ始めました。さらに2つの拠点を持つということは、経費も2倍かかるのです。

 以前、「会社がある程度大きくなった時に、人・物・お金のバランスがうまく取れていなかったら、何かを下ろさなければいけない」と先輩経営者の方から言われていたのですが、本当にその時が来たなと思いました。経営的な資金繰りや管理体制を考えた場合、このまま前に進んでいったらいけないと思って、大切にしていた西広島店の閉店を決意したのです。女性は思いでビジネスをしがちですが、継続するためには損益計算書などコストの部分も考えなければいけません。一番逃げたい数字の部分をしっかり勉強して、何カ月も悩んだ末、覚悟を決めたのです。
 閉店の告知をした時、子どもたちから「学校帰りに行くところがなくなる」と言われて、正直つらかったです。でも最後の最後までみんなが来てくれ、閉店時はオープン時より売り上げが高かったほどで、みんなに惜しまれながら看板を下ろせました。
 地域の皆さんに悲しい思いをさせた分、もっといい仕組みをつくろうと思って、販路先で便利に受け取れるシステムを構築しました。お客さまのご都合のいい時間に、最寄りのスーパーで受け取れるというもので、仕事帰りでも朝一番でも、便利に受け取れるように体制を整えました。
 また移転の際は、以前から考えていた食品衛生に万全を期す施設として工場を整備しました。人と物の流れを一体化して、生産上の危険予測を常に行うことで、より安全な商品を提供することも可能になりました。今後は、国際的な衛生基準であるHACCP(ハサップ)の取得を目指しつつ、従業員の教育にもより一層取り組んでいきます。

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教えて先輩!創業でつまずくポイント、乗り越えるコツ その3
常に創業の原点を見つめながら、強い縦の軸を持って進む!

人の温かい気持ちを入れた商品を!
「共創」の精神を大切にして事業を展開。

 戸河内の道の駅でカープまんじゅうを売っていますが、せっかくそこで売るなら、戸河内の特産物を使ったものを売りませんかと提案したところ、道の駅の方がすごく喜んでくださって。その企画がカープ球団を通ったため、秋に向けて商品開発を進めることになりました。世羅の道の駅でも同様の企画が進行中です。
 地元の吉島小学校の子どもたちが社会科の授業で街探検に来た時、「どんなあんこがあったらうれしい?」と尋ねたところ、「コーラあん」という答えが返ってきました。可能ならかなえてあげて、実際にお店で売られていたら喜ぶだろうなと思って実現したのが、夏季限定の「コーラあん」のおまんじゅうです。最初は吉島のスーパーだけで販売していたのですが、今では全体に広がっています。
 西広島店のお客さまだった観音高校のサッカー部が大会に出る時、「必勝まんじゅう」があったらいいねというので「必勝」の焼き印をつくりました。今、焼き印は10種類ぐらいあり、シーンに合わせて使い分けることができます。
 うちの商品には、人の温かい気持ちを一緒に入れたものにしていきたいという思いが常にあります。小さなおまんじゅうを通じて、お客さまに喜んでいただきたい。商品開発もただおいしいだけでなく、取り巻く人たちと一緒につくっていく「共創」という気持ちを大切にしています。
 つまずきもたくさんあります。例えば、障害のある方を雇用した時、私自身が勉強不足で、きちんとフォローできなかったこともありました。今は、作業所の方と一緒に商品開発をしたり、作業所にお仕事を出したりと、できるところとできないところをお互いに補い合って、協力してものをつくっています。
 創業に関しては、自分が何をしていくのかという縦の軸というか、揺るがない何かを持つべきだと思います。例えば私の場合、おまんじゅうが好きだからおまんじゅう屋をやっているわけではありません。子どもたちの居場所をつくるためにおまんじゅうという手段を選んだのです。いろいろなパターンはあると思いますが、自分がなぜ創業したかという原点を大事にして、迷ったときには振り返ってもらいたいと思います。
 創業の魅力は人との出会いです。ビジネスを通じて出会う人たちから多くの勉強をさせてもらいました。今後は、女性起業家の先輩として、女性の創業もサポートしながら、女性活躍の応援にも取り組みたいと考えています。

会社情報

事業所名 株式会社福々庵
所在地

〒730-0826 広島県広島市中区南吉島1-1 ボートパーク広島1階

連絡先

TEL :082-249-9812

ホームページ http://www.fukufukuan.jp
創業 創業2009年、法人設立2013年7月
従業員数 15名(パートを含む)
業種 食品製造
事業内容

手焼きおまんじゅう、和菓子の製造販売

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