創業は自分を必要とする人とつながること。
必要とされる限り、絆を大切にしたい。

  • PROFILE
  • 大手求人誌の広告営業として企業の採用活動や採用広報に従事した後、株式会社フラウで、主婦向け子育てタウン情報誌の編集企画営業および主婦のマーケティングや再就職支援などに携わる。その後、2000年にフラウツーとして独立。長年培ってきた広告営業のノウハウを生かし、売り上げをアップさせる強み分析や商品改良、表現、仕組みづくり等を総合的にサポートしている。

教えて先輩!創業でつまずくポイント、乗り越えるコツ その1
仕事のオン・オフの切り替えをするためにもインキュベーション施設を活用

私らしく働きたいという思いが、
いつしか「創業」という方法で結実。

 大手求人誌でずっと広告営業に携わっていたのですが、夫の転勤(広島から福岡)を機に、専業主婦となりました。ところが1カ月もたたないうちに、専業主婦の暮らしに飽きてしまい(笑)、そんな時に巡りあったのが子育て情報誌の仕事でした。仕事といっても最初はまったくのボランティア。とにかく働けるのがうれしくて、わが子を乗せたベビーカーを押して営業するくらい夢中になって、情報誌の広告営業をお手伝いしていました。そのうち週3日のパートとなり、最後には副編集長の役職までいただいたのですが、間の悪いことに、今度は夫が岡山へ転勤に。そうはいっても、当時はインターネットが普及し始めた頃でしたので、どこにいても仕事はできると背中を押される形でSOHO(スモールオフィスホームオフィス)生活をスタート。しかし3人の子どもがいるわが家では甘かったですね(笑)。オン・オフの切り替えをするためにも、「とにかく事務所が欲しい!」と思って、当時、岡山県が運営するインキュベーション施設に応募することにしたのです。でも、インキュベーション施設というくらいですから、入居は事業者に限られています。そこで個人事業主として創業することを決心しました。私の場合、創業に至ったきっかけは、事務所に入居するためといえるかもしれません(笑)。
 その後、夫が実家の醤油蔵を継ぐことになり、ようやく広島に戻ってくることになったのですが、こうして自分の足跡を振り返ってみると、結局自分らしい働き方を求めた結果が創業だったのかなと、今では思っています。「働きたい!」「では、自分に何ができるのか?」「どうやって子育てと両立すればいいのだろう?」と、一生懸命考えた結果、自然と「創業」という結論にたどり着いた気がしています。

教えて先輩!創業でつまずくポイント、乗り越えるコツ その2
公的システムへの登録が、ネットワークづくりの起点に。

公的な専門家派遣システムの活用で、
リスクの少ない営業活動を展開。

 創業後、以前いた会社からの企画書作成や原稿などの発注以外に、何を柱にやっていこうかと考え、今までやってきたことは「あらゆる業種へのBtoB営業」「広告やイベントでの販促・マーケティング」の2点だと整理しました。商品やサービスを「売る」営業、会社を「売る」採用に悩んでいる企業がとても多く、これまでは特定のメディアの広告でそのニーズに応えてきましたが、そのノウハウを使えば、逆に広告費をできるだけかけずにやっていくことも提案できるのではないかと考えました。それで、当時インキュベーション施設でお世話になっていた岡山県産業振興財団に「創業したてですが営業と採用は15年やってきたプロです」と訴え、専門家として登録し財団や商工会などからの派遣で、営業や採用に困っている中小企業さまのサポートを請け負うことになりました。
 この公的システムの活用は、私にとっても、お客さまにとっても、大変メリットのあるものでした。それというのも、利用料金の3分の2を支援機関が負担することになるので、企業は気軽にサポートを依頼することができるし、私もリスクを心配することなく、お仕事を引き受けることができたからです。おかげで数多くの企業さまとご縁を結ぶことができたのはもちろん、中小企業庁が行っているミラサポ*注1への登録も推薦いただき、その後広島県6次産業化プランナーやびんご産業支援コーディネーターなど、公的システムを通して顧客のネットワークが県内外へと広がりました。現在も依頼があれば、全国どこでも行きますし県内各地に車を飛ばしています。
 遠方に向けてあちこち移動していると、忙しくて大変だなと思うこともありますが、その反面、どこかに自分を必要としてくれる人がいるというのは、この上なくうれしいことだ、という喜びも感じています。だから、「阿須賀さんがいなくちゃ困る!」というお客さまが一人でもいる限り、この仕事を続けていきたいですね。
 創業するということは、言い換えれば、“自分を必要とする人とつながること”。また、自分で事業を起こす魅力も、そうした関係性を結べることに他ならないと思います。そう考えると、お客さま一人一人との出会いが、私にはかけがえのないものに思えてなりません。後輩創業者の皆さんにも、このすてきな出会いを一つでも多く手に入れてほしいですね。

*注1 ミラサポ:中小企業庁の委託により運営されている、全国385万社の中小企業・小規模事業者とその支援を行う支援機関や専門家のためのインターネットサービス。

教えて先輩!創業でつまずくポイント、乗り越えるコツ その3
人と同じことをやっていては駄目。差別化を熟考する。

創業する前に自分に何ができるか、
丁寧な言葉に置き換えて考える。

 昨今では“コンサルティング”など安易な言葉でひとくくりに語る人が多いように思いますが、創業者の集まりなどに行くとコンサルだらけです。
 特に創業を視野に入れている方は、自分がどんな価値を提供できるのかを、丁寧な言葉に置き換えてみる作業を念入りに行うことをお勧めします。ビジネスは、人と同じことをやっていては駄目です。同じ業界の中でも「ここだけは他と違う!」といった差別化のポイントを熟考し、一つ一つ自分の言葉に置き換えていくと、意外とユニークなビジネスモデルが見えてくるものです。競合相手に勝つのではなく、競合のいない世界に自分を持っていくことを心掛けてください。
 例えば女性創業セミナーの受講生に「整理収納アドバイザー」が3人もいましたが、それぞれの強みをプラスしていくと「子どもにお片づけを教え成績向上につなげる」「小規模事業者の5Sをコンサルするだけでなく作業を請け負うサービスも加える」「シニア層の生前整理」とまったく違う事業計画書になりました。
 ビジネスの付加価値を自分の言葉に置き換える作業は、創業時だけでなく、ビジネスが軌道に乗ってからも、繰り返し行っていく必要があります。時代が変われば、人も変わるものです。今、何が必要とされ、何に価値が見いだされているのかを敏感に感じ取りながら、お客さまにどんなサービスが提供できるかを真剣に考えていくことが重要です。私自身も、いつまで私のアイデアや発想が通じるのか考えることもありますが、デジタルネイティブな若い感性とは違った面でまだお役に立てている手ごたえは感じます。後輩の皆さんにも自身の付加価値を明確な言葉に換えて、ユニークな商品、サービスを発信していってほしいと期待しています。

会社情報

事業所名 フラウツー
所在地 〒731-5137 広島市佐伯区美の里1-16-4-602
連絡先 TEL :070-5419-7793
ホームページ https://www.so-so.co.jp/?DOC=member&NAME=yoshie-asuka
創業 2000年
従業員数
業種 その他サービス
事業内容 営業戦略・販路開拓・販促ツールやイベント・広報宣伝・商品開発・事業計画書や企画書作成・研修・創業支援

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