グローバルマーケットを意識して、
養殖業の新たなビジネスモデルに挑戦!

  • PROFILE
  • 山口県の水産大学校を卒業後、東京の水産物卸商社に就職。2008年には独立し、冷凍カキ加工品を海外へ輸出するケーエス商会株式会社を設立。その後、大崎上島にある塩田跡の養殖池を利用して陸上養殖という独特の手法で、ノロウィルスの影響を受けにくい生食用カキの生産を2011年に開始。世界各国に販路を拡大している。2015年に株式会社ファームスズキ設立。

教えて先輩!創業でつまずくポイント、乗り越えるコツ その1
Win-Winの関係を築けるビジネスパートナーを見つける。

海外でも売れる生食用カキを求めて、
販売者から生産者への道へ。

 出身は関東ですが、山口県の水産大学校を卒業して、東京の築地にある水産物卸の会社に就職しました。そこでは、養殖されたエビを日本へ輸入する仕事をしていたのですが、次第に外国のものを売るのではなく、日本のものを海外に向けて発信したいなという思いが膨らみ、2008年にケーエス商会株式会社という貿易商社を設立しました。
 その会社では、冷凍のカキ加工品を海外に向けて販売しています。サラリーマン時代、休暇をとってはよくヨーロッパやアメリカへ行っていましたが、向こうにはオイスターバーなどがあり、カキはよく食べられている食材なんですよ。それなら日本のカキを輸出してみては、と思ったのですが、欧米の市場ではむき身の冷凍カキはすべてミドルクラス扱い。高級レストランやホテルで使用されるハイクラスのカキは、殻付きで生食が当たり前なんです。しかも日本では食感が肉厚な大きなカキが好まれるのに対して、欧米では小粒でつるりとした喉越しの良いものが好まれます。そこで、海外にも通用する生食用の殻付きカキをつくろうと、ファームスズキの設立に至ったわけです。
 ケーエス商会を設立する際には、ビジネスパートナーだったクニヒロ株式会社の川﨑社長がバックアップしてくださったので、運用資金面をはじめ、いろんな面で本当に恵まれていたと思います。何の心配もなく本業に専念できているのは、「広島育ちのカキを世界に発信したい」という共通の夢で結ばれた川﨑社長のサポートがあったからこそです。もちろんビジネスですからサポートされるだけでなく、Win-Winとなる関係を築くことが大切! 取引先も含めて、協力してくださる方すべてと、そうした関係を構築できるかどうかが、創業にはとても重要だと思います。

▲鈴木さんと川﨑社長 ▲鈴木さんと川﨑社長
教えて先輩!創業でつまずくポイント、乗り越えるコツ その2
既存市場の成長は本当にないのか? 世界を見て発想を転換。

養殖業は成長産業だと言い切る
米国の同業者からビジネスモデルを学ぶ。

 ファームスズキを立ち上げる際、展示会で知り合ったシアトルのテイラー・シェルフィッシュ・ファームズを訪問し、生産現場の様子や養殖方法などを勉強させてもらいました。日本では生産と販売はそれぞれ別の会社が請け負っていますが、海外は生産者が販売するのが当たり前。テイラー・シェルフィッシュ・ファームズも生産から販売までをすべて自社で行っています。しかも彼らは「この仕事は成長産業だ」と言い切る自信も持っていました。一方、日本では若い担い手の確保に苦労し、未来が危ぶまれているような状態。いったいこの違いは何なんだと思って彼らの仕事場を見ていたら、機械を導入し、合理化を徹底しているのです。労力や時間のムダをなくせるから、必然的に1人当たりの年収も労働時間もまったく違ってきます。彼らの職場では週休2日は当然だし、1日の労働時間も5〜6時間程度だそうです。同じアジアのマーケットを目指すにしても、たくさんの人の手が掛かっている日本のやり方では、彼らと同じ土俵には上がれないですよね。
 僕らも彼らのビジネスモデルにならってはいるものの、まだ週休2日は実現できていません。現在、正社員は僕を入れて5名で、忙しい時はパートさんにも手伝ってもらっています。土日の休みは交代でとっていますが、生き物が相手なので、都合よくこちらのライフスタイルに合わせてくれというわけにはいきませんね。それでも今後2年以内に全員年収500万円となることを目指して、出荷量を増やそうと奮闘しているところです。

教えて先輩!創業でつまずくポイント、乗り越えるコツ その3
単なる作業員ではなく、経営者の視点を持った人材を育てる。

ここでは社員一人一人が経営者。
だから数字面もみんなで共有する。

 実は今いる従業員は、こちらから募集をかけたわけではないんです。ちょっと変わった養殖をしているということでさまざまなメディアが取り上げてくれ、そのおかげで「この仕事をやってみたい」という人材が自然と集まってきました。しかも、これといった教育を行っているわけではないのに、当社の人材はみんな本当に優秀です。例えば私の他にもう一人、販売を担当している女性がいますが、彼女は以前ワインの輸入販売をしていたという人です。世界を飛び回って、販路拡大に貢献してくれています。
 当社の社員がそれぞれ自発的に自分の役割を全うしてくれているのは、おそらく各自が“経営者の視点”を共有してくれているからだと思います。というのも、毎回ミーティングで経営面の数字をすべて共有し、会社は今こんな状態だから、2年後、3年後にはこんな未来を目指そうといった方向性の確認を行っています。だから、先ほど言ったような「2年後にはみんなで年収500万円を目指そう」といった目標が出てくるわけです。この春からも、新卒者が2名ほど入社する予定ですが、やはり彼らにも同じような視点を持って仕事に臨んでほしいですね。単なる作業員になられては困ると思っています。あえて経営の全体像を見せるようにしているのは、そうならないためです。養殖業を次世代に引き継いでいくためにも、単にカキづくりがうまい人で終わらず、しっかりビジネスにできる人に育ってほしいと願っています。

会社情報

事業所名 株式会社 ファームスズキ
所在地

〒725-0231 広島県豊田郡大崎上島町東野垂水37-2

連絡先

TEL : 0846-65-3911

ホームページ http://farmsuzuki.jp/
創業 2011年
従業員数 5名、パート3名~5名
業種 水産業
事業内容

車海老や牡蠣など養殖、販売

ページトップへ戻る