毎日に輝きを添える
オーダーメードエプロン

  • PROFILE
  • 広島市内のファッション専門学校を卒業後、中国地方を拠点に全国展開するアパレルグループに入社。退社後は子育てに専念していたが、子どもの手が離れ時間に余裕が生まれたのを契機に、「フレンチ」や「エレガンス」をコンセプトとするオリジナルエプロンを製作。「Bon Ruban」と冠したブランド名で、当初からオンラインを中心に販売する傍ら、デパートが企画するポップアップショップ等にも精力的に参加し、熱心なブランドファンを増やしている。「Bon Ruban」とは、フランス語で"すてきなリボン"という意味があり、手掛けるエプロンの多くにはそれを象徴するリボンがあしらわれている。3年前に、出身地である東広島市の酒蔵通りに念願となる工房兼ショップをオープンさせた。

教えて先輩!創業でつまずくポイント、乗り越えるコツ その1
お客さまの声から最良の答えを見つける

ちょっとした特別感で生活が輝く

オリジナル作品を制作・販売するようになったのは12年ほど前のことです。子育てにも少し余裕が生まれたころ、空いた時間を活用してエプロンを作り、オンラインで販売を始めました。エプロンを商材として取り扱ったのは、毎日の生活に輝きを添えてくれるアイテムだと考えたからです。ちょっと特別感のあるエプロンを身に付ければ、それだけで気分もアップします。家事や子育てに忙しい人たちへエールを届る商品です。始めたばかりのときは、今と雰囲気も違い、アメリカ製の生地が多く、カラフルでアメリカンポップなテイストでした。そこから、コンセプトやデザインの見直しを重ねて誕生したのが、現在の「Bon Ruban(ボンリュバン)」ブランドです。
「Bon Ruban」は、フランス語で「すてきなリボン」という意味があります。名前から連想されるとおり「フレンチ」や「エレガンス」をコンセプトにした商品をラインナップしています。商品の特徴として、当初からリボンをあしらっていましたが、その後も肌触りの良い天然素材や手に入りにくい輸入生地を用いるなど、私にしか作れない、ここでしか手に入らないオリジナルのエプロン制作を目指してきました。
また、オーダーメイドを発注してくださるお客さまと会話を重ねるなかで、「ノーアイロンでシワにならない生地がいい」「洋服のように高級感のあるものにしたい」といった声が聞こえてきました。いずれも「なるほど!」と納得させられる意見ばかりで、現在の商品ラインアップは、そんなお客さまの貴重な声も取り入れたものとなっています。さらには来店される方へのアドバイスにも、こうしたお客さまの声は非常に役立っています。
例えば、楽に着用できるものを希望される方には、肩への負担が軽減されるワンショルダーを、自分らしさをプラスしたい方には、個性を演出するチュールレースのデザインを提案します。いずれにしても、そのベースは「Bon Ruban」最大の特徴である「美シルエット」。身に纏った瞬間から優美なラインを描き出す「美シルエット」は、洋服作りを基礎から学んだ私ならではの技術だと自負しています。美しさや機能性が評価されて、料理教室の先生やネイルサロンのユニホームなどとして採用されるケースが少なくありません。

教えて先輩!創業でつまずくポイント、乗り越えるコツ その2
物件や外注先は自分の条件に見合ったものを

物件探しに人材探し……。
まずは行動を起こしてみる!

オンライン販売を始めてしばらくは、自宅が工房を兼ねていましたが、商品の拡大に伴って次第に手狭となり、どこか自宅以外の場所を確保したいと考えるようになりました。
とはいえ大きな固定費は、それに応じたリスクを背負うことにもなります。どこか条件の良い物件がないかと探し回るなかで、偶然にも東広島市が酒蔵通りで運営するアンテナショップの出展者を募集していることを知りました。これは新規創業を目指す方がテストマーケティング目的で借りることができる施設で、最長1年間、賃料は免除されました。残念ながらその年でこの制度は終わってしまいましたが、せっかくのご縁ですので、大家さんにも応援いただき、引き続きこの場所で営業しています。

創業当初は、固定費を抑えたやりくりができれば助かりますよね。市町の創業サポート担当者も親身になって相談に乗ってくださることもあるので、一緒に考えていただくことで何かしら解決策が見つかるかもしれません。まず身近な相談窓口を当たってみましょう。自分から行動を起こさないと、物事は動かないですね。
あと創業時の悩みがもう一つ、それは信頼できる外注先の確保です。ブランドを広く認知してもらうため、デパートが企画する期間限定のポップアップショップへ時折出店していますが、そこで100万円を売り上げるには300万円分の商品を持ち込む必要があります。その規模になると一人ではとても商品を作りきれません。しかし、縫製会社に外注するとなると、小ロットではコストが高くなってしまいます。ですから条件の合う個人の縫い子さんを常に探している状況です。
縫い子さんは現在2名いらっしゃいますが、お二人とも元々はお客さまだった方たちです。オーダーメードを頼まれる方は、ハンドメイドにも興味を持っていらっしゃる方も多いので、思い切って声をかけて悩みを打ち明けてみたところ、手伝っていただけることになりました。信頼できる縫製の外注先はブランドの信用そのものです。今後も慎重に人材探しを継続していきます。

教えて先輩!創業でつまずくポイント、乗り越えるコツ その3
自分はなぜ創業したのか、その初心を忘れない

困難を乗り越える鍵は
自ら選んだ創業の原点にある

正直なところ、今は十分な縫い子さんを確保できていないので、受注残の製作に追われる毎日です。今後どのように事業を伸ばしていくか想いを巡らすなかでは、もう少し経営環境を整える必要があると実感しています。今がちょうどビジネスの分岐点に差し掛かっています。
一つの気付きとして、強いニーズがあっても人手が確保できないということは、他の作家も同じように苦労しているということです。将来、縫い子さんを多く確保することができれば、作家専門のOEMとしてビジネスが成立する可能性もあるのではないでしょうか。

これ以外にも、今後の可能性を幅広く考えるなかで、ビジネスモデルから人材確保手段、SNSの活用まで、ありとあらゆる悩みを専門家や先輩経営者に相談してみました。しかし、どれも正論ではあっても、やはり自分のビジネスにぴったりマッチするかというと、そこに違和感を抱きました。一人で悩むよりは、相談した方が成功の確率はぐんとアップするでしょう。でも、1から10まで鵜呑みにすると、「判断できない経営者」になってしまう危険もあります。頑固になる必要はありませんが、まわりの話に耳を傾けつつも、最後は自分が責任を持って決断したいですね。
困難を乗り越えて事業を継続するには、創業時の気持ちを忘れないことが大切です。私の場合、お客さまの喜ぶ顔や感動される瞬間に立ち会えることが創業の喜びでした。ミシンに向かう際は、いつもお客さまの期待を超える製品をお届けして、感動していただきたいと意気込んでいます。晴れやかなお客さまの笑顔を目の前にした時は、私自身も感動で胸がいっぱいになり、お客さまから幸福を分けていただいた気分です。
いつまでも初心に立ち返りつつ、これからも努力し続けます。

会社情報

事業所名 Bon Ruban
所在地 東広島市西条
連絡先 -
ホームページ https://www.bonruban.com
創業 2016年
従業員数 -
業種 衣類製造・販売
事業内容 オリジナルのエプロン製作・販売

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