子どもたちが生き抜く力を育む
これまでにない個別指導塾を展開。

  • PROFILE
  • 広島市東区出身。大学在学中から、家庭教師派遣・個別指導塾の運営スタッフとして働き、卒業後はそのまま就職。20代半ばで独立し、福岡で家庭教師派遣の会社を共同設立する。2008年、広島市安佐南区に週5日定額で通塾できる毎日個別塾5-Daysを新規開校。以降、広島・福岡を中心に教室数を拡大。2010年、株式会社5コーポレーションを設立。2020年現在、関東から九州エリアまで、FCを含む約150校を運営している。また、民間学童保育LOVE-KIDS、小学生プログラミング教室QUREO、個別指導型英語教室Leptonなどの教育関連事業も展開中。

教えて先輩!創業でつまずくポイント、乗り越えるコツ その1
独自のビジネスモデルを構築し差別化を図る

他塾とは異なる「新商品」と
コンセプトを大きく打ち出す。

 英語の先生になるのが夢で、大学では英米文学を専攻しました。教育実習で現場を見たことをきっかけに、その目標は手放してしまったのですが、「教育分野」の仕事には興味があり、在学中からアルバイトで家庭教師派遣の運営に携わっていました。個別指導の業界を長く知るという強みを生かし、創業に当たっては、まずビジネスモデルの構築を重視しました。
 最初に考えたのが、他の塾にはない「新商品」です。通常、個別指導の塾は、通えば通うほど料金がアップしますが、その仕組みを根底から見直し、「週5日の授業を定額料金で受け放題」というプランをスタートしたのです。新しいものは注目を浴びやすく、ドミナント方式による開校も功を奏して、1年目から収益を上げることができました。
 また、創業当初からPRし続けてきたのが、「21世紀を生き抜く力を育む」という塾のコンセプトです。この背景には、私自身が「勉強しなさい」と言われて育った経験があります。私たちの世代は、ハイレベルな大学や大手企業を目指して学んだものの、就活時はバブル崩壊後の氷河期。「これまでの努力は一体何だったのか?」という虚無感を抱いた世代です。そんな私が親になり、子どもに身に付けてほしいと願ったのが、学歴オンリーではない「社会全般に通じる能力」でした。そしてその基盤は、子ども時代に何らかの成功体験を積むことで養われるのではないかと考えたのです。

 「5-Days」に通い始めたら、また一つ自分の中の目標を超えられた! そういう喜びを経験した子どもたちは、社会へ出た時に自ら考えて行動できるはず。少しぐらい困難なことに遭遇しても、前を向いてたくましく生きられるはず。私の思いは同じロスジェネ世代の保護者の心に届き、思いのほか多くの反響を呼びました。

教えて先輩!創業でつまずくポイント、乗り越えるコツ その2
意見のズレは早めに解決する

考え方・方向性などをこまめに共有し
仲間と良好な人間関係を築く。

 「30教室ほど開校したら、テレビCMを打ちたい」という目標も創業3年目に達成し、入塾者のさらなる増加につながりました。順調な道のりに思われるかもしれませんが、創業当初、大きなつまずきも経験しています。同じ思いで付いてきてくれた立ち上げメンバー数人と、収益の配分で考え方のズレが生じたのです。「5-Days」は自己資金だけで始めた塾で、生徒が集まらなかったら即終了というギリギリのスタートでした。しかし幸いにも反響が良く、早くに利益が出ました。ただ私の中では、貴重な資金は手元に残しながら、堅実に教室を増やしていきたいという思いが強かったのです。一方、創業メンバーには「利益が出たのだから配分してほしい」という思いがありました。意見が衝突し、1年ぐらいでけんか別れになりました。

 実は私は、20代半ばに福岡で一度創業しており、そこでも苦い経験をしています。大学卒業後に就職した会社の先輩と、2人で設立した家庭教師派遣の会社でしたが、事業所の拡大に伴い遠隔地の拠点ができたことで、顔を合わせて話す機会が減りました。単純なコミュニケーションロスで考え方の違いが浮き彫りになり、私がその会社を去りました。
 二つの経験から言えるのは、一緒に創業した仲間との信頼関係の構築がいかに大事かということです。ささいな感情のズレ・考え方の相違を感じたら、その都度話し合いの場を設け、解決しておく。これを怠ると、後々の経営に響きかねません。
 誰でも創業時は不安で、人の力を借りたくなるものです。でも、私が今だから提案できるのは、「一人で始める」という方法もあるということです。背伸びせず、自分の手が届く範囲のことからスタートする「小さく産んで大きく育てる」というスタンスは、いろいろな面でリスクを軽減できると思います。

教えて先輩!創業でつまずくポイント、乗り越えるコツ その3
自分に自信を持ち「勇気」に変える

不景気な時こそ創業のチャンス!
最初の一歩を踏み出してみる。

 創業の経緯をあらためて振り返ると、共同で設立した会社を辞めて広島に戻り、精神的にも資金的にも追い込まれて「5-Days」を始めたという印象です(笑)。当時、既に妻子がいましたから、「失敗したらどうしよう」という怖さはもちろん感じました。でもやってみたら、意外と何とかなりました。後先が逆かもしれませんが、大事なのは「やってみること」。そこからしか自信が生まれません。自信があれば、創業に一番必要な「勇気」が湧いてきます。
 これから創業を考えられている方に伝えたいのは、外野のアドバイスは参考程度にとどめ、創業への情熱やそれまでの経験を大切にしてほしいということです。例えば、塾業界も少子高齢化の波を受け、決して安泰とは言い切れませんが、そこで「やっぱりやめておこうか」と迷うよりも、前進する方が絶対に良いと思います。時代に合わせて意外なサービスの需要が高まるかもしれませんし、たとえ失敗しても、その後の成功に必ずつながるでしょう。

 コロナ禍の今、社会全体に元気がありません。実はこういう不景気な時期こそ、創業のチャンスです。まず、既存のブランドは価値が下がるので、ベンチャーが参入しやすくなります。空き物件が増えて、事務所を借りる交渉がスムーズになります。人材採用の幅も広がります。これらは、バブル崩壊後とリーマンショック後に事業を立ち上げた私だからこそ、実感をもってお伝えできることです。
 自分のアイデアが受け入れられ、それが事業として成り立つという喜びは、創業者にしか味わえないものです。今後も私と賛同してくれる仲間の力で、どこまで社会に影響を与えられるか、どれだけの人に「ありがとう」と言ってもらえるか、その限界を目指して挑戦していきたいです。会社としては、教室の全国展開を目標にしています。あと10年ぐらいたてば、「5-Days」に通ったかつての塾生が、社員として当社を支えてくれると思います。そうなれば、事業基盤がより強固になるのではないかと期待しています。時間という軸を使って、しっかりとブランド力を高めていきたいですね。

会社情報

事業所名 株式会社5コーポレーション
所在地 〒732-0828 広島市南区京橋町1-2 新京橋ビル3F
連絡先 TEL:082-546-9550
ホームページ https://5corporation.co.jp
創業 2008年
従業員数 135名
業種 教育、学習支援業
事業内容 学習塾の運営、家庭教師の派遣、学童保育事業など

ページトップへ戻る