その仕事は人のためになるかどうか。
それが創業後唯一の羅針盤でした。

  • PROFILE
  • 広島県および岡山県に数多くの教室を持つ田中学習会。その代表である田中氏に、創業からのこだわりを尋ねると「社員全員とその奥さん旦那さんの誕生日を覚えていること」と笑う。それだけ社員と固い絆で結ばれているのだ。「会社は家族」という考えは自然と各拠点の学習指導にも反映され、「地域は家族、だから家族みんなで子育てをしよう」といった人間味あふれる教育を展開している。

ひろしまの創業のポイントひろしまでの創業のポイント

地域も社員も幸せになれる会社づくりを心掛ける。

本当にやりたいことか、誰かのためになるかを自問自答する。

広島での創業は、横のつながりが強いのが特長。

教えることで急成長する子どもたち。
その過程を見るのがたまらなくうれしい。

 私は高校時代を島根で、大学時代を関西で過ごしたのですが、大学在学中に父を亡くし、学生ながらも自活を余儀なくされることとなりました。そこで学習教材を販売するアルバイトを始めたのですが、販売員として優秀だったんでしょうか?何とわずか3日で40万円もの歩合給を手にしてしまいました。
 しかし「今はやる気になっていてもきっとこの子は続かないだろう」と思いながら売ってしまったので、その罪悪感にさいなまれ、かなり落ち込みました。そこで15日間が1タームのアルバイトでしたが、4日目からは営業に回っている振りをして、教材を販売したその子どもたちに勉強を教えました。それがきっかけでその子どもたちから家庭教師を依頼されアルバイトをするようになり、子どもたちと触れ合う楽しさを知りました。勉強を教えることで、子どもたちの人生がどんどん変わっていく。その過程を目の当たりにできるのが、なによりもうれしかったのです。
 その段階では、この仕事を一生の仕事にするとは思っていませんでした。就職活動を行い内定もいただいていたのですが、当時、島根から広島に転居した母が「広島に家を建てたから、あとのローンは何とかしんさい」と言い出したんです。そこで腹が決まりましたね。大学卒業とともにその家のリビングで学習塾を創業することにしました。最初は3人の生徒さんから始まりましたが、彼らが結果を出すことによってクチコミが広まり、夏期講習を迎える頃には、100人を超す生徒さんが集まるようになりました。

会社は家族なので、
社員が幸せになれる会社づくりを。

 創業当初から母が経理面を担い、私が学習塾を担当するといった役割分担ができていたので、私は何の心配もなく、子どもたちの学習指導に専念できました。経営者としての転機が訪れたのは4年目です。社員を雇うようになってから、「会社としてしっかりやっていかねば!」という責任を強く感じるようになりました。
 当塾の場合、社員の中に教え子もいるので、私は彼らの両親の顔も知っているわけです。彼らが「生まれてきて良かった」「この仕事に巡り合えて良かった」という状況をつくらなければ、両親にも合わせる顔がないのです。だから“会社は家族”という考え方のもと、「社員が幸せになれる会社づくり」を強く意識するようになりました。
 当塾では、社員さんのお子さんは全員月謝無料です。これもやはり「会社は家族」の発想から生まれたもので、「家族なんだから、家族全員で子育てしようよ」という思いを制度として実現させました。昨年、残念なことですが若くして急逝した社員がいたのですが、みんな当然のように、彼の子どもが大人になるまでは、みんなで成長を見守ろうという気持ち満々でいます。彼が手術を受ける際に何度も輸血が必要になりましたが、会社の同じ血液型の社員が次々に献血に協力してくれて、後に病院の方から「知り合いの方だけで輸血が足りたのは初めて」だと聞き、あらためて当社の社員の絆の深さを思い知りました。悲しい出来事ではありましたが、「これまでの会社づくりは正しかったんだ」と強い確信が持てた瞬間でもありました。

「先生、分かったよ!」の積み重ねが、
子どもたち一人一人の生きる力になる。

 塾という仕事は、見えている部分だけでいうと、受験のための学習指導です。でも私たちは、それだけではなく、学力と同じくらいに子どもたちの生きる力、すなわち「人間力」を育みご両親たちと共に地域の教育を担いたいと考えています。現在、私自身は直接子どもたちを指導していませんが、家族のように思いを共有する社員たちが、第一線で人間力を育む教育を実践してくれています。
 この仕事をしていて最も喜びを感じるのは、「先生、分かったよ」のひと言が子どもたちの口から聞けた瞬間です。子どもたちと一緒に新しい人生の扉を開いた気がして、すがすがしい気持ちでいっぱいになります。実際、子どもたちはこうした理解を一つ一つ重ねて学力を培い、自分の人生の舵を取っていきます。その成長の過程に立ち会えること、これほど喜びに満ちてやりがいのある仕事はないと、私は思っています。子どもたちには幸せな人生を歩んで欲しい。そしてその子どもたちが、将来少しでもたくさんの人たちを幸せに導いて欲しいと願っています。
 これから創業される方にも、その仕事が本当に自分のやりたいことかどうか、そしてそれが誰かのためになっているかどうかを、常に自問自答してほしいと思います。その二つを確認できれば、ぶれることなく真っすぐに自分の道を歩んでいけるはずです。変にマニュアル化しないことも大事でしょう。どんな仕事でも、基本となるのは自分の良心です。私が大学時代に従事した教材販売のアルバイトのように、マニュアルに沿って教材がうまく売れたとしても、心がなければ、その仕事は誰の役にも立っていません。広島は横のつながりが強い場所です。あなたの仕事が良心に支えられていることを確認できさえすれば、必ずその仕事は誰かの人生に有益なものとなり、周りの人も協力してくれるはずです。

会社情報

事業所名 株式会社ビーシー・イングス
所在地 〒732-0822 広島市南区松原町10-23
連絡先 TEL : 082-567-0055
FAX : 082-263-4000
ホームページ https://www.tanakagakushukai.com/
創業 1985年4月
従業員数 195人
業種 小中高生の学習指導
事業内容 広島県内に58校、岡山県内に10校、約13,000名の小・中・高校生が学ぶ学習塾

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