自分らしい働き方を求めて、
食の大切さを伝える通販サイトを設立。

  • PROFILE
  • 大病を患い、食養生をしていた頃、体を温める生姜の素晴らしさと出会い、オリジナル生姜シロップの通販サイトを立ち上げた中尾さん。その後、イベントや観光地での出店販売などにも参加しながら、地道に販路を拡大。2016年5月には、生姜シリーズの一品として考案した「生姜ごはんの素」が、めでたく福山ブランドに認定される。

ひろしまの創業のポイントひろしまでの創業のポイント

広島の豊かな“食”と、地元生産者とのつながりが大切な財産。

ネット通販の成長も、人とのつながりが原動力に。

福山ブランドの認定も受け、地域とともにさらに成長したい。

転機となったのは店頭市への出店。
ネットだけでは全く売れませんでした。

 私の場合、創業の直接のきっかけとなったのは、自分の健康状態です。病気を患い手術を受けたものの体調不良が続き、いよいよ会社勤めが無理だという状況に見舞われました。そこで、家にいながら自分のペースでできる仕事はないかと考えていた時に、通販サイトを立ち上げ、自分で作った生姜シロップを売ろうと思い付きました。体調が思わしくない時期に、漢方を取り入れた病院に通っていたのですが、そこで体を温めることの大切さを知り、生姜が持つパワーに気付いたのもきっかけになっています。生姜シロップは、もともと自分が飲むために、どうせなら食材にこだわったものをと手作りしたのが始まりです。
 その後、2010年10月に家族のサポートを得て、創業。2011年2月には、ネット上の大手ショッピングモールにも出店しました。でも、反応はほとんどありませんでしたね(笑)。月1万円の売り上げがあるかないか……といった感じでした。転機となったのは、店頭市に参加するようになってからです。地元のイベントや観光地で出店するようになって、緩やかではありますが、売り上げも次第に右肩上がりになってきました。
 店頭市に参加して良かったのは、お客さまの声を身近に聞けたことですね。商品の改良にもつながり、“おいしい!”という声を目の前で聞くと、リピーターになってもらえるという自信にもつながりました。

生産者との出会いから生まれた、
地域の魅力を伝える「福山ブランド」商品。

 ネット販売のみの時は、交流の輪はなかなか生まれませんでしたが、店頭市に出るようになって、地域のさまざまな方たちとつながるようになりました。お客さまだけでなく横のつながりも生まれ、小売店に声を掛けてもらったり、新たなイベントに呼ばれたりすることもありました。創業当初は、むしろ雑音に振りまわされまいとして、あえて他人の意見に耳を貸さなかったのですが、今では店頭市で知り合った取引先や小売店の方たちに第三者の意見をいただき、大変参考になっています。
 例えば新しい商品の値段を決める際、どこを高い・安いの基準にするのか、自分はまったく把握できていませんでした。値段は安ければ安いほど良いというものではなく、商品そのものの価値を保つためにも的確な値決めが必要です。原価を何割まで抑えれば良いのかなど、相談して初めて分かったこともたくさんありました。
 さらに、取引先だけでなく、地元の生産者との間につながりが生まれたのも大きな財産です。今年の5月、当社が生産する「生姜ごはんの素」という商品が福山ブランドに認定されました。この商品には福山・服部地区で作られた生姜を使用しているのですが、優れた生産地が近くにあるということは、地域から食のムーヴメントを盛り上げていくことにもつながります。広島で創業して良かったなと思うのは、豊かな食を育む生産地が周りにたくさんあることです。今後は生姜以外の農産物にも目を向けながら、生産者と加工業者、お互いのブランド価値を上げるような関係を築けていけたらいいなと思っています。

まずは“やる!”。それができたら、
次は“続ける”に挑戦してみること。

 自分の場合、「これならやっていける」という手応えを感じるようになったのは、事業を始めて3年たった頃でした。そこから事業のステップアップを見据えて、着々と準備をしていきました。昨年は自宅を改築して工場を併設し、今年からはパートさんを雇って、のべ4人(自分と家族を合わせると計7人)で生産できる体制を整えています。実を言うと自分の中では、「今が2度目のスタート」だと思っていて、ビジネスを発展させていくがんばり時だと捉えています。
 自分は、創業するかしないかは、やるかやらないかの差だけと思っています。例えば良いアイデアを思い付いたとしても、大半の人はリスクを考えて、一歩を踏み出さないのです。アイデアだけで終わってしまう人がほとんどです。そこを乗り越えるには、失敗してもいいからとにかく“やるんだ!”という強い意志を持つことが必要です。そしてそれができたら、次は“続ける”ことにチャレンジしてみましょう。
 私は迷った時や壁にぶち当たった時、心の支えにしようと思って、知り合いのイラストレーターさんに、自分の夢を1枚の絵にまとめてもらいました。この絵には「実家をリフォームして、工場を併設すること」「従業員を雇うこと」「生産者さんのブランド構築に貢献すること」「いつかは従業員を連れて海外旅行に出掛けること」など、自分の夢や目標がすべて描き込まれています。夢の続きを実現していくには、こうした未来予想図を持つことも大切だと思います。皆さんもぜひチャレンジしてみてください。

会社情報

事業所名 ジンジャーダイヤモンド
所在地 〒720-0076 福山市本庄町中2-3-10
連絡先 TEL・FAX : 084-922-2663
ホームページ https://ginger-diamond.com/
創業 2010年10月
従業員数 6人
業種 生姜をベースとした加工食品を販売
事業内容 生姜のシロップを中心に生姜に関するオリジナル商品を販売

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