グラフィックデザイナーとして働く傍、元々「地元の方が集えるような空間を作りたい」という漠然とした思いがありました。結婚、出産し子育てをする中で近所を散歩する機会が増え、「散歩の途中に立ち寄れる場所があったら、もっと楽しいだろうな」という思いが強まり、散歩途中に物件探しを始めることに。その時に「色んな年齢の人が集える空間=カフェ」という構想はすでにありました。そして今の物件との出会いが。元金物屋のその物件は、荷物がいっぱいでガラス引き戸の内側にはビニールがかかっており外からはよく見えない状況でした。そしてそのビニールの隙間から中を覗くと、広い土間に太い梁、「ここはすごく素敵な場所になる!」と感じました。二人目を出産したタイミングでグラフィックデザイナーとしても独立し、地域の仕事を手掛けつつ構想を固めていきました。そこから大家さんとの出会い、三次市内の建築士さんとの出会いなどを経て開店までたどり着くことが出来ました。
kissaは築100年を超える古民家をリノベーションし生まれた空間です。若い方には新しく、ご年配の方には懐かしさを感じていただけるような空間を目指しました。様々な年齢の方や様々な価値観の方が同居することで、新しく何かが生まれていくような不思議な空間になればという狙いがあります。
kissaのある吉舎はその昔銀山街道で栄えた町で、ここ七日市商店街も約30年前は全ての商店が営業されており、「ここらはね、ほんとにすごい賑やかだったんよ。それが今じゃ寂しいもんよね」とおっしゃる年配の方はすごく多いと感じます。開店前、年配の方の地域の現状に悲観する声を多く聞きました。でもふと私たち世代にその感情はなく、この土地で楽しく子育てをしていることに気付きました。そこで「いろいろな年齢の方が集うことで年配の方にも前向きな感情が生まれるのではないか」そう思いました。kissaはおもちゃや絵本の置いてある小上がり席があり、赤ちゃん連れの方も多く利用いただいています。子連れの方に遭遇し、年配の方が「可愛いわねえ」と微笑まれている姿は、私たちにとってもとても喜ばしい風景となっています。そういった点から、「この場所にカフェがある」ことの意義を感じています。2020年11月には,ひろしま建築文化祭の大賞を受賞させていただきました。このような評価をしていただけた事も,非常に嬉しく思っています。
(良かった点)
お店を開き「これが私たちです」と示したことにより同じような価値観やそれに共感してくださる方と出会う機会が圧倒的に増えたことです。「ここはただのカフェじゃない。つながりが不思議と生まれている」とお客さんから言われる機会があり、目指していた場所にちゃんと近づけている、そう感じました。
(苦労した点)
毎日お菓子作りや調理をし続けるという点で初めてのことに戸惑いました。それは今でも続いており、これもいい形で変わっていけたらいいなと思っています。
このコロナという状況の中、何が人間活動なのか、何が幸せなのか考える機会はとても多かったと思います。居心地の良い場所で誰かと過ごす、一人コーヒーを飲みながら読書をする。それぞれの時間を過ごしていただけたら。
三次広域商工会 吉舎支所(支援内容:事業計画策定、助成制度紹介、経営相談、販路開拓、人材確保・育成)
事業所名 | kissa |
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所在地 | 〒729-4211 広島県三次市吉舎町吉舎397番地 |
連絡先 | TEL : 090-9063-0376 |
ホームページ | https://www.instagram.com/kissa_nanokaichi/?hl=ja |
創業 | 2019年10月 |
資本金 | - |
従業員数 | 0名 |