「貧しい地域の生活環境を改善」
という使命感に燃えて、70歳で創業!

  • PROFILE
  • 自身が創業したIT関連の設計・製作・販売を行う有限会社ケィ・ワィ技研を子息に譲った後、70歳で株式会社Emaxを設立。「飲料水浄化装置」によるBOPビジネス(発展途上国や低所得階層向けビジネス)を展開している。特に、東南アジアを中心とした、飲料水が大きな社会問題になっている地域の生活環境改善のため奔走している。兼田氏自身は32歳で初めて創業し、株式会社Emaxは4社目の創業となる。

教えて先輩!創業でつまずくポイント、乗り越えるコツ その1
さまざまな支援制度が創業を後押し。

広島県やジェトロの幅広いサポートを受け、
自分自身の人生の集大成として創業。

 以前、私が経営していた有限会社ケィ・ワィ技研は、半導体を利用した装置の開発を行っていましたが、浄水器メーカーと技術提携し、逆浸透膜を利用した災害時用手動式浄水器を開発しました。この製品で特許を取得し、新たな事業展開として海外進出を考えたことが創業のきっかけです。世界には、水事情の悪い国がたくさんあるのが現状で、そうした地域の生活環境改善に少しでも役立ちたいと思ったことも、創業を後押ししました。
そこで、面識のあった広島県中小企業団体中央会に相談したところ、経済産業省の「地域需要創造型等起業・創業促進補助金」を紹介いただきました。この補助金事務局である(公財)ひろしま産業支援機構の支援を受けて採択されたことから、2014年に新会社の設立へ至りました。
会社を立ち上げる際に、事業計画の3分の2に当たる補助金をいただけたのはありがたかったですね。さらに海外に進出する際に、広島県やジェトロ(日本貿易振興機構)の支援制度を活用させてもらえたことも大きかったです。広島県が実施している海外でのビジネス機会の創出を目指した「広島県環境浄化産業クラスター形成事業」を活用し、ベトナム最大の水処理展示会に出展するとともに、出展にかかる渡航費などの支援も受けられました。ジェトロの地域間交流支援事業においては、ベトナムの展示会でジェトロブースに無料で出展させてもらい、ジェトロの現地スタッフの方にもサポートをいただくことができました。これらがあったからこそ、順調にスタートできたと感謝しています。
そうやって、ちょうど70歳になった時に、以前の会社を息子に譲ったのですが、私は何もしないでいると、つい会社に口出しをしたくなるものですから、自分の経験を生かした仕事で社会貢献したいと思ったことも創業のもう一つの理由です。私の周りの人からは「仕事を辞めたらすぐに死ぬよ(笑)」と言われるぐらい、仕事が好きなのです。新しいものを考え、お客さまの要望に合ったものをつくった時に、お客さまの喜ぶ姿を見るのが大好きで、仕事に対する情熱はそういったところから沸いてきています。

教えて先輩!創業でつまずくポイント、乗り越えるコツ その2
海外取引は感覚の違いに注意し、慎重な見極めを。

開発費を惜しむと、いい商品はできない。
回収まで見据えプロジェクトのバランスを図る。

 零細企業は資金繰りが大きな問題ですが、中でも人件費が大きいです。私どもの会社のスターティングメンバーは、全員が会社の社長だったので給料を払わなくて済み、初期費用として人件費がかからなかったのは大きかったですね。利益が出たら、株の持ち分比率で分配することにしています。
ただ、ある程度お金に余裕ができると、すぐ気持ちが大きくなって商品開発にお金を使ってしまいます。図面を描いてもらったり、金型をつくってもらったり、試作品をつくったり。技術力の高い商品をつくるには、それ相応のお金がかかります。私どもは開発を主体とした会社ですから、商品の開発にお金がかかるのは仕方がないことですが、使い過ぎると資金繰りに困ります。でも良い商品開発をしないと、プロジェクトが前に進まなくなり、事業も終わりになってしまいます。その辺りのバランスが大切だと考えています。
私どもが主に取引をしている東南アジア地域は、日本と比べて貨幣価値が低いため、日本と同じ金銭感覚では到底、商品は売れません。そのため、徹底的なコスト削減を行い、そのような地域でも購入可能な価格帯に販売価格を下げることを実現しました。さらに、メンテナンスも低価格で行うための技術を開発しました。今後は、現地の人を使うことにより、雇用を生みながら利益を少しずつ上げていきたいと思っています。
失敗したことも多々あります。ある国の公営企業との商談で「電動式浄水器1000台」の契約書を交わしたのですが、実際に納品したのは200台だけでした。自治体の方々にも立ち会っていただき交わした契約にもかかわらず、不履行になりました。1000台納品することを予定して開発費を使っていたので、開発費を200台で割ったら、大赤字になりました。販売は現地の日系企業と代理店契約を結んで行っていたのですが、海外はその辺がドラスチックですね。もう少し慎重に見極めてやるべきだったなと痛感しました。今は新しい代理店と契約を結び、事業を推進しています。

教えて先輩!創業でつまずくポイント、乗り越えるコツ その3
創業するなら若い方がいい。ただし、覚悟が必要!

裏切られても、決して裏切らない。
本当に信頼できる人間関係の構築が大切。

 創業に一番大切なことは、自分の起こした事業が世の中の役に立つという信念ですね。面白いからやるとか、営業がうまいからやるとか、そのようなサラリーマンの延長線上では難しいと思います。「やるからには徹底的にやった方がいい」ということは言えます。中途半端な気持ちでは絶対にやらない方がいいですよ。土曜日も日曜日もなしになるかもしれませんし、家族をある程度、犠牲にすることもあるかもしれません。それは覚悟しておき、家族の協力も得るべきでしょう。
どうせ創業するなら、若い時がいいですね。やり直しがききますから。それと体力がある。事業を起こすというのは非常に体力と気力が必要ですから。私が初めて30代で独立した時は、怖いものなしで、突っ込んでいきました。大手にも平気で営業に行きましたし、全然怖くなかったですよ。
年齢を経てやると、それはそれでいい面があります。たくさんの知り合いがいて、いろいろな助言をしていただけるという面です。しかし、そういうのにあまり頼り過ぎない方がいいですね。独立したら、競争相手になるかもしれませんから。
やはり最後は、人間関係をいかに築いていくかが大事です。本当に信頼でき、信頼していただける人というのは、なかなか出てこないと思います。裏があったり、情報を盗まれたり。私は、何回も裏切られた経験があります。しかし私は、絶対に人を裏切らないようにしています。「裏切られても裏切らない」と常に自分に言い聞かせながら、仕事を続けています。
今後の目標は、スリランカとネパールとベトナムに浄水器を導入し、できたら現地に会社を立ち上げたいと思っています。日本人が全部やるのではなく、現地の人を技術指導して、現地の人が組み立てやメンテナンスができるようにしたいのです。日本の技術を輸出するだけでなく、海外の人材を育てて、地域の生活環境の改善に寄与したいと考えています。

会社情報

事業所名 株式会社Emax
所在地

〒736-0044 安芸郡海田町南堀川町6番8号

連絡先

TEL :082-821-3741

ホームページ https://emax123.com/
創業 2014年2月
従業員数 10名
業種 製造業
事業内容

家庭用・業務用逆浸透膜浄水装置の製造・販売、各種水処理、汚泥排水処理システムの開発、災害時飲料装置各種・海水淡水化装置

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