創業を成功させるには泥臭さも必要。
愚直に営業すれば信頼も付いてくる。

  • PROFILE
  • 福山市の大手造船・海運会社に入社し、管理部門を中心に9年間在籍。在職中の2010年に社会保険労務士の資格を取得。退職後、2015年に社会保険労務士事務所あかつきを開業。人事労務はもちろんのこと、会社員時代に経理・財務部門で培った経験をもとに、ITと数字に強い社労士として、地域の企業の労務管理をサポートしている。

教えて先輩!創業でつまずくポイント、乗り越えるコツ その1
希望通りの開業資金を調達できないことも想定が必要だった。

「社労士の創業にそんなにお金が掛かるの?」
その思い込みを覆すことから出発した資金調達。

 身近な人間が創業していたので、自分も「いつかは」という思いがあり、創業に踏み切ったのですが、最初の資金調達でいきなりつまずいてしまいました。前職で企業の財務部に所属していたせいか、そもそも会社の看板もなくお金を借りることが、こんなにも大変ということにまったく気付いていませんでした。そこがつまずきの要因です。
 私の場合、事務所を構えてシステムも導入したいと考えていたので、約300万円を最初の資金として考えていました。しかし、従来の社労士さんは自宅を事務所にしている方が多く、金融機関の方も“電話とファックスさえあれば開業できる仕事”というイメージを持たれていました。そのためいくら説明しても、「どうしてそんなにお金が要るの?」と不思議がられました。私としては、若さを補い信頼度を上げるためにも、どうしても事務所を構えたかったし、ゆくゆくはスタッフも雇いたかった。さらに新しいことにも挑戦したかったので、システムの導入も譲れない条件でした。何度も説明を試みましたが、結局政策金融公庫から最初に借りた資金は目標の金額よりも100万円少ない、200万円でした。さらに、その後もシステムへの追加投資やスタッフ雇用による運転資金などで、2度、3度目の調達資金として、銀行から合計650万円を調達。結局、自分が想定した金額の3倍近くのお金が創業資金として掛かったのです。お金を借りる苦労も知らなかったし、資金の見込みも甘かったわけですが、この経験もいつかお客さまに還元できると考えているので、今となっては貴重な経験だったと思っています。

教えて先輩!創業でつまずくポイント、乗り越えるコツ その2
広告だけで顧客は集まらない。やはり“営業”は欠かせなかった。

先輩創業者の一喝で営業スタイルを改革!
泥臭い営業をして初めて見えた突破口。

 「とにかく30歳を節目に創業しよう」と期限を切っていたので、半年も準備期間がない中でバタバタと創業してしまいました。そのため、見込み客もゼロの状態で出発。思うように顧客が増えなくて、ずいぶん長い間、眠れない日々が続きました(笑)。
 もちろん、その間、何もしていなかったわけではありません。DMを作って送ったり、野立て看板を設置してみたり、宣伝のため、情報誌やラジオ放送にも出ました。しかし、まったく問い合わせはなく、いたずらに広告費を使うばかりでした。ちなみに当時の広告費は1カ月あたり10万円ほど。顧客は獲得できていないのに、家賃と合わせると毎月30万円ほどを経費として支出していました。
 「これではいかん」と思って、地元の経済団体の先輩創業者に相談したところ、「そんなやり方では到底お客さまは獲得できない。もっと泥臭く営業してみろ!」と一喝されました。自分ではがんばっているつもりだったのに、サラリーマン時代ずっと事務系だった自分は、どこか「営業」という仕事を避けていたのかもしれません。DMを送付するにしても、その後のフォローを何もしていなかったですし、2度、3度と、貪欲にお客さまにぶつかっていなかった気がします。
 そこで、まずは手始めに医療機関を中心に、「とにかく話を聞いてください」と、自分の足を使った営業を展開していきました。1カ月間は何の反応もなかったのですが、翌月一気に4件の契約があり、手探りながらも、「そうか、こうやって営業するんだな」という手応えを得ました。他人のやり方と自分のやり方は違うと思い込むのではなく、迷った時には素直に先輩たちの話を聞いてみるのも突破口を開く良い手段だと思います。

教えて先輩!創業でつまずくポイント、乗り越えるコツ その3
安価な料金設定が顧客獲得につながるとは限らない。

安ければ顧客が獲得できるわけではない。
信頼を得るには、まず顔を合わせること!

 顧客獲得で試行錯誤している際、料金を少し安めに設定すれば、間口が広がるかなと思ったのですが、そういうものではなかったですね。特に私たちの仕事は“信用第一”の世界ですから、「安かろう、悪かろう」といった印象を抱かれては命取りということを身をもって実感しました。
 では信頼を得るにはどうすればよいか? 私のように、若い社労士はそれだけで「経験不足かもしれない」という印象を持たれてしまう恐れがあるので、とにかく顔を合わせる機会をつくるように配慮しました。例えばDMを送る際も「無料相談会を行います」とか、得意の助成金関連の知識を生かして、「オリジナルの助成金ガイドブックを差し上げます」といった一工夫を添えて送るようにしました。雑誌に広告を掲載する場合も、取材者の目で見た記事を掲載してもらえるような企画を選び、自分の人柄がお客さまに伝わるよう工夫しました。こうした努力は劇的な効果をもたらすわけではありませんが、小さな積み重ねが地域の信頼を獲得するものだと、少しずつではありますが実感しています。
 実際、顔を合わせてお話しさせてもらったお客さまとは確かな人間関係が築けている気がします。揺るぎない信頼関係ができると、チャットを使って、お互いの空いた時間に打ち合わせすることも抵抗なくできますし、電子申請を利用してスピーディーに書類申請を済ませることも可能です。社労士の世界は意外に電子化が進んでいないので、ITで合理化できれば、お客さまにとっても大きなメリットになると考えています。今後もこうした新しいスタイルの提案をしながら、付加価値の高いサービスを提供していきたいですね。
 最後に創業後の自分を振り返ってみると、収入は少し減っていますがこれからが楽しみですし、奥さんと子育てを協力し合える時間を確保できたのも、自分自身にとって大きなメリットでした。スタッフに対しても、同様の気遣いができる会社にしていきたいと考えています。

会社情報

事業所名 社会保険労務士事務所あかつき
所在地

〒720-0815 広島県福山市野上町一丁目4番10号

連絡先

TEL : 084-959-2709

ホームページ http://sr-akatsuki.com/
創業 2015年
従業員数 4名
業種 専門サービス業
事業内容

社会保険労務士

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